襦袢と乗馬ズボン

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襦袢は、ポルトガル語からきているんだそうですね。
ポルトガル語には、「ジバウ」 gibao という言葉があって、これが今の「襦袢」の源なんだとか。もっとも「ジバウ」には、「チョッキ」の意味があったという。
ただし「じゅばん」の言葉は、古い。慶長六年頃の『伊達日記』に、すでに「じゅばん」が使われているんだとか。慶長六年は、1601年のことですからね。
まさかそこまで遡らなくても。越智為久が書いた古書『反古染』にも、様ざまな襦袢のおしゃれの様子が描かれています。

「浅黄縮緬、縞縮緬、ひわ茶色…………」。

これは、安永の頃の襦袢の流行を語っている件なのですね。
現代のおしゃれな襦袢については。白州正子が『きもの美』の中で。

「いつか鳥海青児夫人が紫の濃い襟を、黄色っぽい紬のきものにかけていらっしゃって、大変きれいに見えたことがあります。」

きもの、襦袢、そのおしゃれの奥もまた限りなく深いのでしょう。白州正子は『きもの美』に、こんなことも書いています。

「かり縫いをするのも、男の仕立屋で、木馬の上にまたがって、馬に乗った時きゅうくつでないように、そういうかり縫いを四度ぐらいやらされました。」

これは白州正子が倫敦で乗馬ズボンを註文した時の話。そしてこの乗馬ズボンは何十年と穿いて、型くずれがなかったという。
「きもの美」も、「洋服美」も結局は同じところに理想があるのではと、語っています。まさに、その通りなんでしょうね。

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