タイユヴァンとタイ

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タイユヴァンは、憧れのレストランですよね。もちろん三つ星のレストラン。もちろんパリにあるレストラン。
タイユヴァン Taillevent は少なくとも、ふらりと入るようなレストランではありません。前持って予約が必要。もしもうまく予約が取れたならの話ですが。もしもおしゃれなら人なら、タイユヴァンの予約が取れてから、そのための服装を註文することもあるでしょう。間違ってもデニムのジャンパーなどはお召しになりませんように。
タイユヴァンは、1948年の創業。アンドレ・ヴリナが開いたレストラン。サンジョルジュ広場の近くに。「タイユヴァン」は最高の食事を出したので、拍手喝采。1948年にミシュランの星を得ています。今のリュウ・ド・ラムネエに移ったのは、1950年のこと。1956年には「二つ星」を得ています。これが「三つ星」となったのが、1973年のことなんだそうですね。
では、どうして店名を「タイユヴァン」にしたのか。これはもともと人の名前。「タイユヴァン」は、十四世紀のフランスで活躍した、料理人。1395年に、八十五歳で世を去っています。それまでの間、国王、フィリップ六世、シャルル五世、シャルル六世の料理長でもあった人物。
また国王の命により、『レ・ヴィアンディエ』という料理本をも著わしています。現在、『レ・ヴィアンディエ』は、稀覯本となっているのですが。
レストラン「タイユヴァン」が出てくるミステリに、『呪われた女』があります。『呪われた女』は。カトリーヌ・アルレーが、1981年に発表した物語。

「もし嫌いならすぐに《タイユヴァン》に変更するが、どうだろうと言う。」

これは法務大臣の、ポール・ラメが、友人のマリー・カルリーに対しての気遣い。一応、魚料理店の「ラ・マレ」を予約しているのだけれど、もしもお嫌なら、変えましょうか、と。
また、『呪われた女』にはこんな描写も。

「プリンス・オブ・ウェールズ風の背広と、黒いニット・タイと………………」。

これはパリ十六区の警察署長、トマ・ベラダックの着こなし。
ニット・タイ、いいですねえ。もちろん、シルク・ニット・タイでしょう。手編みの。手で握れば、音色を奏でるニット・タイ。
もちろん、タイユヴァンにだって結んで行かれるでありましょう。

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