ダンとダンディズム

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ダンというワインがあるんだそうですね。ポルトガルに。ポルトガルのダン Dao という場所で造られるので、「ダン」。白ワインもあり、赤ワインもあります。
1970年頃、ポルトガルの「ダン」を好んだ作家に、檀 一雄がいます。檀 一雄は1970年、ポルトガル、リスボンに近い港町、サンタ・クルスにしばらくの間住んでいます。檀 一雄はサンタ・クルスで「ダン」に出会って、「なんだ俺のワインじゃないか」と、思ったのでしょう。檀は「ダン」を、愛飲。もっとも1970年代、サンタ・クルスでの「ダン」は地酒感覚で、けっして高価なワインではなかったのでしょうが。
檀 一雄の代表作に、『火宅の人』があります。『火宅の人』は、ポルトガル、サンタ・クルスで書きはじめられたと、伝えられています。『火宅の人』を読み込むと、はるか遠くから「ダン」の薫りが漂いはじめるかも知れませんが。
檀 一雄は美食家でもありました。美食家であると同時に、料理上手でもありました。

「サフランを白ブドウ酒で一度煮立たせておき、色どりと香気をとかし込んでおこう。」

檀 一雄著『檀流クッキング』に、そのように書いています。これは「アサリのスペイン風」での説明なのですが。檀 一雄はワインを料理にもふんだんに使ったようですね。
ワインが出てくるミステリに、『空部屋』があります。 『空部屋』は、ディクスン・カーが、1963年に発表した物語。

「サンドイッチを一皿と、葡萄酒を三杯おのみになっただけです。」

『空部屋』には、またこんな描写も出てきます。

「スパッツとネクタイ、いつもブラシをかけてある上着とつやつやした頭、髪、それらすべてで、弾力性のあるダンディズムを完全に身につけていた。」

これは、アーノット・ウィルスンという人物について。
「ダン」のワインは探せるでしょう。でも、ダンディズムははるかに遠い存在ではありますが……………。

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