パンチとピー・ジャケット

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パンチ P unch は、英國のユウモア雑誌の名前ですよね。1841年の創刊とのことですから、古い。明治の頃、「ポンチ画」といったものです。漫画のことを。これはようするに、『パンチ』誌に出てくるような絵という意味だったわけです。
その『パンチ』が『ニューヨーカー』のひとつのヒントになったのではないか、との説があります。

「ロスは自分が欲しいものを知っていた。「パンチ」のような雑誌をじっくりと読んで、レイアウトのアイディアを得た。」

常盤新平著『「ニューヨーカー」の時代』には、そのように出ています。『ニューヨーカー』はもっと成功した雑誌のひとつで、創刊は、1925年の2月。編集長は奇人の、ハロルド・ロス。もちろん『ニューヨーカー』誕生の前夜を語っているわけです。
常盤新平は『ニューヨーカー』の熱心な読者でありました。常盤新平がはじめて『ニューヨーカー』に出会ったのは、1955年頃。場所は、渋谷、百軒店。1955年頃の百軒店には、何軒か古本屋があったのですね。古い『ニューヨーカー』は一冊、20円くらいだったとも。
『ニューヨーカー』好きの常盤新平がもうひとつ好きだったのが、ショオ。アメリカの作家、アーウイン・ショオ。常盤新平のショオ好きは、ちょっと常軌を逸していたのかも知れませんが。常盤新平にそれほどまで愛されたショオは幸福者だったでしょう。
アーウイン・ショオの長篇に、『富めるもの貧しきもの』があります。1970年の発表。この中に。

「彼はピー・ジャケットの中に身をすくめた。ジャケットの下には厚地で青いタートルネックのセーターを着ている。」

これは、トマス・ジョーダッシュの着こなし。船に乗っている場面ですから、ピー・ジャケットはぴったりでしょう。
さて、ピー・ジャケットを着て、古い『パンチ』を探しみ行きましょうか。

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