ウイーンとウイング・カラー

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ウイーンは、美しい町ですよね。
ウイーンは、音楽の町。ウイーンは、乗馬の町。モオツアルトの町。そしてもうひとつ、カフェの町。
ウイーンにはカフェが多く、しかも珈琲が美味しい。なんといっても珈琲の種類がたくさんあります。
ウイーンはカフェの殿堂。いや、ほんとうに宮殿に迷い込んだのか、と思えてくるほどに豪華なカフェが多くあります。
数多いカフェの中でも有名なのが、「カフェ・ツェントラル」。あえて日本語にすれば、「中央珈琲店」でしょうか。
この「カフェ・ツェントラルをこよなく愛したのが、ペーター・アルテンブルク。ペーター・アルテンベルクは、詩人にして、奇人であった人物。自分の名刺に、「カフェ・ツェントラル」の住所を書いていたほど。毎日、「カフェ・ツェントラル」へ。さすがに寝るときは、自宅に帰ったようですが。

悩みがあるなら ー カフェへ行こう
彼女が理由もなしに会いに来ないというなら ー カフェへ行こう
長靴が破けたら ー カフェへ行こう

ペーター・アルテンベルクは、1919年に、そのようにはじまる詩を書いています。
とにかく、ペーター・アルテンベルクに会いたい人は必ず、「カフェ・ツェントラル」を訪ねたという。今も、「カフェ・ツェントラル」はありますし、ペーター・アルテンベルクにも会えます。ただし、蠟人形のペーター・アルテンベルクですが。
「カフェ・ツェントラル」ではペーター・アルテンベルクを讃えて、没後に蠟人形を作り、今なお「客」として迎えているからです。
ウイーンが出てくる小説に、「老いたる詐欺師』があります。2016年に、ニコラス・サールが発表した物語。

「もっと、ヨーロッパの中央部へ行こうと思ってたんだけど。プラハとか、ブダペストとか、ウィーンもいいかもしれないわ」

これはベティという女性の科白。ロイと二人の旅について相談している場面なんですね。また、『老いたる詐欺師』には、こんな描写も。

「古風なウィング・カラーのシャツを着た、優しいそうな風貌の男性ではあったが…………………。」

これは、リリから眺めての、弁護士の着こなし。ウィング・カラーは、高い襟先の折れたカラーのこと。
ウィング・カラーの前には、ダックス・カラーという立襟があって、襟の角が頸に刺さって痛いので、自然の折り曲げるようにしたものです。
たしかにクラッシックな襟でありますが、今のラウンジ・スーツにだって、合わせることもできますよ。
いいなあ、ウィング・カラーのシャツを着て、ウイーンに行かれたなら。

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