仔羊とコケイド

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仔羊であろうと羊であろう、人間のために役立ってくれる貴重な動物ですよね。
すべてのウールは羊毛で、つまりは羊の毛。もし、この世に羊がいなかったなら、私たちはスーツを着ることさえ難しくなってくるわけです。
今は「紙」からデジタルの時代へ。でも、紙の前にはパーチメントの時代があったものです。羊皮紙。
羊皮紙は伊達や酔狂の名前でなく、文字通り羊の皮を薄くして、「紙」の代りとしたものです。羊皮紙はなにも文字ばかりではなく、楽譜を書くことも、あったでしょう。
團伊玖磨が、パーチメントの上に楽譜を書いたのか、どうか。さあ。でも、團伊玖磨が主に八丈島で作曲したのは、間違いないようです。
毎年、毎月、作曲に打ちこむには八丈島の仕事部屋に籠った。当時の八丈島にはバアもカラオケもなく、ただただ五線譜をにらむのに、理想の場所でもあったものと思われます。
その一方、團伊玖磨は旅の好きなお方でもあって。1984年には、西域を旅しています。

「毎日、羊肉又は羊肉の食事を楽しんで尽きなかった。」

『羊頭狗肉』と題する随筆の中に、そのように書いています。「毎日」、「羊肉」を。これはもう、「羊がお好き」といって誤りではないでしょう。
仔羊が出てくる小説に、『バーナビー・ラッジ』があります。チャールズ・ディケンズの長篇小説。ただし物語の背景は、1780分代に置かれているのですが。

「それから仔羊の厚切り ( パン粉をまぶしてケチャップをたっぷりかけるんだよ) …………………。l

これはとある宿の食事を説明している場面なんですね。
また、『バーナビー・ラッジ』にはこんな描写も出てきます。

「自分の帽子を膝の上にのせ、今日一日つけていた青い花形リボンをせっせと切りはじめた。」

これは、ある秘書の様子。「青い花形リボン」。これは「コケイド」ではないでしょうか。c ock ad e 。
コケイドは十八世紀に、帽子の正面にあしらった、丸い、リボン風の飾りのことです。コケイドは、固定の装飾。
ただし、宮中での正式な行事には、コケイドがつけられることもあります。コケイドは自分で外しことができるなら、自分で付けることも。
コケイドふうの飾りある帽子で、仔羊を頂きにまいりましょうか。

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