フロベエルとフロック

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フロベエは、フランスの文豪ですよね。ギュスターヴ・フロベエル。代表作は、『ボヴァリー夫人』でしょうか。
ある時、ボヴァリー夫人のモデルが話題になった時。ある友人が訊いた。「ボヴァリー夫人のモデルは誰かね?」それに対するフロベエルの答え。

「マダム・ボヴァリーは、私のことだ!」

『ボヴァリー夫人』に続いてフロベエルが書いた長篇が、『サランボー』。これはフロベエルの歴史小説。

「四時から六時までのあいだ、フロベールは吠えるがごとき朗々たる声で朗読したが、その声はまるで青銅のうなり声のような響きで、わたしたちを揺り動かした。七時に晩餐となった。」

ゴンクール兄弟の『日記』に、そのように出ています。1861年5月6日、月曜日のところに。
この日、ゴンクール賞兄弟はフロベエルから招かれて、『サランボー』の朗読会に行ったんだそうです。その時の様子。
作者のフロベエルが、自作を発表前に、読んで聴かせる。なかなか贅沢な話ですねえ。当時は朗読が珍しくはなかったのでしょう。
『ゴンクールの日記』は、その頃の時代を知る上でも、貴重な存在でしょう。

「われわれのズボンとフロックコートのなかで、彼らの細すぎる体がゆれている様は、ちっぽけな動物がサーカスで人間の服を無理に着せられているようなところがある。」

これは、1876年3月2日、木曜日の『日記』。
この日、ゴンクール兄弟は、美術評論家、フィリップ・ビュルティの家で、会食。そこには、留学中の西園寺公望が来ていたので。
少なくとも、この日、この時、西園寺公望がフロック・コートを着ていたことが窺えるでしょう。
フランス人のゴンクールからすれば、そのフロックはかなりルーズだと感じられたのかも知れませんね。

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