ブランデーとブレスレット

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ブランデーは、美味しいものですよね。食後酒には最適でしょう。
食事にはワインを飲んで、その後にブランデー。ブランデーとワインは親戚みたいなものですから、相性も良いのでしょうね。
ブランデーは趣味の酒という印象でもありますが。また、時と場合によっては、気付薬の役目としても、使うようです。

「腹が減った時の用心に握飯を作らせ、少量のブランデーと藥品を二三種類ポケットに入れ……………………。」

谷崎潤一郎の名作『細雪』に、そのように出ています。たぶん、谷崎潤一郎も、ブランデーの非常用の使い方を心得ていたものと思われます。
谷崎潤一郎はいつも名作ばかりを書いていたわけではなくて。ある時には、戀文も。谷崎潤一郎は多くの懸想文を書いています。その一例ではありますが。

「実は去年の「盲目物語」なども終始あなた様の事を念頭に置き自分は盲目の按摩のつもりで書きました。(中略) たとひ離れてをりましてもあなた様のことさへ思つてをりましたならそれで私には無限の創作力が湧いて参ります。」

昭和七年九月二日付の手紙の一節。宛名は、根津松子になっています。
まあ、戀文の手本のような文面ですよね。和紙に筆で、さらさらとこんな文がかけたらなあと、思うばかりですが。いくらブランデーの酔いを借りてもだめでしょうね。
ブランデーが出てくる小説に、『無常の月』があります。1971年に、ラリイ・ニーヴンが発表した短篇。

「二十五ドルもする年代もののブランデー五分の一、それにあわせて、レスリーのためのチェリー・ヒアリング五分の一…………」。

これは「彼」が店で買物をしている場面。また、『無常の月』には、こんな描写も出てきます。

「エレガントな男ものの腕時計や、時計のついたブレスレットを展示しており………………」。

これは、ビヴァリー・ヒルズの「ヴァン・クリーフ&アーペル」の飾窓を眺めているところ。
たしかに、ブレスレットのような時計もあり、時計のようなブレスレットもありますからね。
いっそ、すべての腕時計は、「時計の付いたブレスレット」と考えたほうが、選びやすくなるんでしょうね。
今、素面。一滴のブランデーも飲んではおりませ

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