探偵とタートル・ネック

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探偵は、デティクティヴのことですよね。d et ect iv e と書いて、
「デティクティヴ」と訓むんだそうです。
もっともここでは、物語上の「探偵」なのですが。ほら、「探偵小説」なんていうではありませんか。
小説における最初の探偵は誰なのか。これは、「オーギュスト・デュパン」ということで、大方の意見が一致しているようですね。
エドガー・アラン・ポオが、1841年に発表した『モルグ街の殺人』に登場する「探偵」であります。
ポオは『モルグ街の殺人』の後、『マリイ・ロオジェの謎』、
『盗まれた手紙』の計三作を書いているのですが。そのいずれも、
オーギュスト・デュパンが探偵役となって、事件を解決。
ところで、「デティクティヴ」の英語は、1843年頃から用いられているらしい。もし、そうだとすると、ポオは「デティクティヴ」の言葉以前に、オーギュスト・デュパンを生んだ。そうも言えるのでありますが。
ところで、そもそもポオはどうして「探偵小説」を書こうと思ったのか。
これはどうも、ヴィドックと関係があるようなのですね。
フランソワ・ヴィドックは、フランスの大泥棒。その大泥棒のヴィドックが後に改心して、フランス警察に協力した事実があります。
またヴィドックは、1827年に『回想録』を出してもいまして。
ポオはこのヴィドックの『回想録』を読んで、面白いと思ったのでしょう。
では、「オーギュスト・デュパン」の名前はどこから来ているのか。
1830年代のフランスに、アンドレ・デュパンという名前の法律家がいて。どうも、ポオはこのアンドレ・デュパンの名前を拝借したのではないかと、考えられています。
同じアンドレでは具合悪いので、オーギュストに変えたのだろう、と。
ポオについてのもうひとつの推理なのですが。ポオはもともと詩人で、創作家で、文章家で。ポオにはポオの心配があって。純文学ばかり書いていると、頭がおかしくなるのではないか。
そうなったは困るので、いわば息抜きに「探偵小説」を書いた。そんな見方もあるようですね。
ポオの、オーギュスト・デュパンは、本格推理派探偵ですが。後の時代に、ハードボイルド派探偵も生まれています。
ハードボイルド派探偵の生みの親は、ダシール・ハメット。ダシール・ハメットの後継者が、レイモンド・チャンドラー。レイモンド・チャンドラーの後継者が、ロス・マクドナルド。そのように言っても、大きな間違いではないでしょう。
ロス・マクドナルドが、1961年に発表した物語に、『さむけ』があります。
『さむけ』の中に、こんな描写が。

「細いズボンをはき、黒いタートルネックのセーターを着たブラッドショーは一段と若く見えた。」

「ロイ・ブラッドショー」はある大学の部長という設定。ロス・ブラッドショーが、ホテルの部屋で寝ているのを、探偵のリュウ・アーチャーが起こしに行ったときの様子。
リュウ・アーチャーが、ロス・マクドナルドの探偵であるのは、言うまでもありません。が、本名は、ルイス・A・アーチャーなんだとか。
それはともかく、黒のタートル・ネック・スェーターが若々しい見えるのは、ほんとうなのでしょう。
どなたか緻密に編んだタートル・ネックを作って頂けませんでしょうか。

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