コルクは、コークのことですよね。
日本語では「コルク」。英語では「コーク」cork となります。
ワインの栓にはたいていコルクが使われていること、ご存じの通り。シャンパンの壜には必ずコルクの栓になっています。
あのシャンパンのコルクの栓をいかに上品に開けるのか。これはソムリエの腕の見せどころでしょう。
コルクは、コルク樫の樹皮。
柔軟性があるので、ワインの栓などにもふさわしいのでしょう。
コルクのボードもあれば、コルクのコースターなどもありまして。コルクの用途も様ざまですね。
日本語の「コルク」は、ポルトガル語の「クルク」kruk から来ているんだとか。
このクルクを昔の日本人は「キルク」と言ったらしい。
「ぢや、まづ、一ぷくさせて頂いて……」と袂からキルク口の莨を出して、煙を内端に吹きながら話した。
岡本かの子が昭和十四年に発表した短篇『河明り』に、そのような一節が出てきます。
戦前の莨には「キルク口」があったのでしょうか。
それはともかく、岡本かの子は「キルク」と言っていたに違いありません。
岡本かの子の『河明り』には、戦前のジャワの様子も描かれているのですが。
「白いノーネクタイのシヤツを着て、パナマ帽を冠つたその男も氣がついたらしく、」
これもジャワに暮す青年の様子として。
コルクが出てくる小説に、『名誉の戦場』があります。
1990年に、フランスの作家、ジャン・ルオーが発表した物語。
「家の裏まで丘の方角にはいりこみ、コルク樫のあいだを通って、両岸が葦が縁どる干あがった水路に沿い、」
これは「ジョン」の朝の散歩コース。
また、『名誉の戦場』にはこんな描写も出てきます。
「散歩から帰ると、おじいさんは白い開襟シャツと平織りのスラックス姿で籐椅子に腰をおろす。」
朝の新聞を読むために。
「開襟シャツ」は、ネクタイ不要のシャツのことですよね。首元の涼しいシャツ。
フランスなら、「コル・ウヴェール」col ouvert でしょうか。
どなたか白絹のコル・ウヴールを仕立てて頂けませんでしょうか。