サラダとサイドゴア・ブーツ

サイドは、野菜の料理ですよね。
ことに生野菜をたっぷり食べる一皿。いや、一鉢でしょうか。
サラダは健康食の印象があります。
世界中にサラダがあるのもそのためなのでしょう。
もちろん、フランス人もサラダをよく召しあがります。
日曜日の夕方、ベランダでパニエを振るのは、旦那さんの役目。
ここでの「パニエ」は、サラダ籠のこと。金網。洗ったサラダを籠に入れて水を切るための道具。
水切りの必要ないものに、ポテト・サラダがありますね。
ポテトを茹でて、マッシュして。あとはもう味つけすれば、ポテト・サラダの完成。
ポテト・サラダは美味しい。また、なにかのパンにはさんで、サンドイッチにもなるでしょう。
ポテト・サラダがお好きなお方に、福 明子がいます。
福 明子は童話作家。2012年に『ポテトサラダ』の本を書いているほどに。

「サラダはだいじだよ。だって、ぼくをこの店につれてきたのは、ケイという、ポテトサラダが大すきな男の子なんだもの」。

福 明子の『ポテトサラダ』は、こんなふうにはじまる童話なのですね。

ここでの「この店」とは、北口駅前通り商店街にある「せのお精肉店」。精肉店なのですが、ここで作ってくれるポテト・サラダが旨い。

「そのとき、大好きだったお肉屋さんのポテトサラダを買ってきてもらったら、これがなんとおいしかった!」

福 明子は「あとがき」にそのように書いています。ちゃんとモデルがあったんですね。
サラダが出てくる小説に、『財産家』があります。
1906年に、英国の作家、ジョン・ゴールズワージが発表した物語。

「旦那さま、サラダは?」若鳥は下げられた。

これは財産家が食事をしている場面。
パン、スープにはじまり、魚料理、カツレツ、チキンを食べて、サラダへと。アプパラガスのサラダを。
また、『財産家』には、こんな描写も出てきます。

「耳にかかった銀髪の巻毛から、エナメル革にゴム布が脇に入った靴をはいた足のかかとに至るまで、」

これもまた、ご主人の様子として。
「ゴム布が脇に入った」。これは「サイドゴア・ブーツ」
sidegoa boots ではないでしょうか。
ということはサイドゴア・ブーツは十九世紀末に考案されていたのでしょうか。
どなたか十九世紀のサイドゴア・ブーツを再現して頂けませんでしょうか。