レーズンとレジメンタル

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レーズンは、干し葡萄のことですよね。葡萄の保存方法のひとつでしょう。
葡萄を絞って、液体にすれば、ワイン。ワインもまた、葡萄の保存方法からはじまっているのでしょう。
干し葡萄の出てくる小説に、『放浪時代』があります。竜胆寺雄が、昭和三年に発表した物語。

「彼女は膨らんだ上衣の隠しから、小さな赤い乾葡萄の紙箱を出して、僕の手のひらに仰につかまえたまま二三度ぶッつけて、中のものを黒く湿ッぽくそこへあけた。」

これだけではなんとも言えませんが。私は勝手に、「サンキスト」のレーズンではなかったかと考えています。
子供の頃、よく「サンキスト」のレーズンを食べたものです。赤い紙箱に、葡萄摘みの女の絵姿が描かれていたのを覚えています。
「サンキスト」はもちろん、「太陽に口づけされた」の意味で。カリフォルニアの葡萄は、それほど太陽を浴びていますよ、という意味だったのでしょう。

「日本人や露西亜人の家族がサモワールでお茶を飲み、乾葡萄の入った菓子を食べています。」

昭和三十八年に、遠藤周作が発表した『童話』の一節です。
戦前の満州が物語の背景になっています。満州は冬には寒いところで。サモワールは実用品でもあったのでしょう。
もちろん紅茶を飲んで、身体を温めるわけです。その紅茶のおともに、レーズン・クッキーなどがあったのかも知れませんね。
レーズン・パンの話が出てくる小説に、『パン』があります。
英国の作家、レベッカ・ブラウンが、1984年に発表した創作。

「丸パンはレーズンが入っていて柔らかかった。上に薄い艶々の膜がかかっていた。」

それで、女性徒たちは、学校で出てレーズン・パンの、数を数える。レーズンがいくつ入っているのか。
また、『パン』には、こんな描写も出てきます。

「緑色のネクタイで、赤い縞が入っていた。」

学校での制服のひとつとして。英国でいうところの「クラブ・タイ」。アメリカでは、
「レジメンタル・ストライプ」とも言います。
グリーンにレッドのストライプ。なんだか「サンキスト」を連想させてしまうのですが。
この縞柄は、マフラーも同じく制服になっています。
どなたか現代版のレジメンタルを作って頂けませんでしょうか。

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