風呂とブートニエール

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風呂は、バスのことですよね。
「バス・タオル」というではありませんか。「バス・タイム」とも。バス・タイムには、
「バス・ソルト」や「バス・バブル」を使ったりもします。
バス b ath は、英国の地名「バース」B a t h から来ているとの説もあるようですね。
「バース」はイングランド、サマセット州の温泉地。
温泉地としての「バース」の歴史は古く。少なくとも古代ロオマの時代にはあったそうです。
事実、今もバースには、古代ロオマの温泉がほぼそのままに遺されています。
十八世紀。バースの規律を定めた人物に、リチャード・ナッシュがいます。
リチャード・ナッシュは、1674年に生まれ。1762年に世を去っているのですが。
十八世紀のバースは、ギャンブルでも栄えた街。温泉に湯治に来ているわけですから、暇はたっぷりある。そこで、賭博を。
賭博には諍いがつきもので、やがては刃傷沙汰に。当時の紳士は剣を携えていましたから。
これはなんとかしなくてはというので、もともとはギャンブラーのリチャード・ナッシュに任せることに。
その時、リチャード・ナッシュが提案したのが、剣の禁止。賭博場には剣を持ち込んではいけませんよ、と。
そのためにバースに再び平和が訪れて。温泉客が殖えたんだそうですね。
人呼んで、「キング・オブ・バース」とは、リチャード・ナッシュのことであったのです。
リチャード・ナッシュにはもうひとつの名前があって。「ボオ・ナッシュ」。ナッシュは、
洒落者でもあったのです。
こんなふうに考えますと。洒落者もどこかで役に立つことがあるんでしょうか。

風呂が出てくるミステリに、『イギリス式濾過器』があります。1926年に、英國の作家、C・E・ベチョファー・ロバーツが発表した物語。

「ラヴァレロは、五時十五分すぎに、風呂に出かけるとき、廊下から格子窓ごしにリボッタに声をかけたというんです。」

ラヴァレロは体重調整のために風呂を利用していたという話につながるんですが。
一般にヨオロッパ人に較べて、日本人は風呂好きな民族だと言えるでしょう。

「朝寝、朝酒、朝湯が大好きで」

小原庄助さんは、そうだった。典型的な日本人だったのでしょうか。
『イギリス式濾過器』には、こんな一節も出てきます。

「お定まりのグレイのフロック・コートに膝の出たしわくちゃのズボンのホークスは、胸にばらなどつけて………………」。

A・B・C・ホークスは、イギリス人科学者という設定になっています。
英國からロオマに着いたばかりなので。
それにしても1925年頃、イギリス人科学者は、日常着として、フロック・コートを着ていたのでしょうか。
文中の「胸にばら」は、ブートニエールのことかと思われます。
もし夜間に燕尾服、イヴニングを着るなら、白いカーネーションがふさわしい。
それが、ディナー・ジャケットなら、赤いカーネーションという暗黙の了解があります。
どなたか赤いカーネーションが様になるディナー・ジャケットを仕立てて頂けませんでしょうか。

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