ハロルドとバッジ

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ハロルドあ、人の名前にもありますよね。たとえば、ハロルド坂田だとか。映画俳優。イアン・フレミングの映画『ゴールドフィンガー』に出演していました。
あるいはまた、ハロルド・ロイド。1910年代以降、人気のあった喜劇役者。1916年のデヴュー。この時の扮装が黒縁の、丸眼鏡だったのです。ハロルド・ロイドの人気とともに、この「ロイド眼鏡」の流行になったのであります。

🎶 ロイド眼鏡に燕尾服 泣いたら燕が笑うだろ

昭和二十八年の、『街のサンドイッチマン』の一節。これまた鶴田浩二の歌でヒットしたものです。

ロイド眼鏡が出てくる小説に、『つゆのあとさき』があります。昭和六年に、永井荷風が発表した物語。

「口髭を刈り洋服を着、鼈甲のロイド眼鏡をかけ………」

これは占い師の身形として。物語の主人公は、「君江」。君江がある占い師のところに行くところから、物語がはじまるのです。
君江は見料として一円を支払っているのですが。
永井荷風の『つゆのあとさき』は、昭和六年十一月一日に、中央公論社から出てきます。天金仕上げだったという。「天金」は、本の上に金箔をあしらった装丁。一冊、一円五十銭だったそうですね。これがずいぶんと好評。売れに売れて。
初版に七千部を刷って、すぐに増刷になっています。

ええと、ハロルドの話でしたね。ハロルドの出てくる小説に、『時間の縫い目』があります。1961年に、イギリスの作家、ジョン・ウインダムが発表した短篇。

「そんなことができたのも、ハロルドのおかげだ。頭のいい息子、すばらしい息子。」

「ドルダースン夫人」が、息子に感謝している場面。今の自宅に住んでいられることについて。
また、『時間の縫い目』には、こんな描写も出てきます。

「その青年の服装は、クラブのマークがついた縞のブレザーと、白いフラノのズボン。首にシルクのスカーフを巻き、色バンドを巻いた麦わら帽をあみだにかぶっている。」

ここでの「クラブのマーク」は、紋章のことかと思われます。正しくは、「バッジ」badge 。私たちがふつうエンブレムと呼んでいるもののことです。
どなたかバッジの似合う縞柄のブレイザーを仕立てて頂けませんでしょうか。

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