フィアンセとフリーズ

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フィアンセは、婚約者のことですよね。昔の日本では、「許嫁」。たいていは子供がまだ小さい時から、親同士で決めることが多かったんだそうですね。
「フィアンセ」fiancé はもともとフランス語。「フィアンセ」は相手が男の場合。「フィアンセ」fiancé e
となりますと、相手が女性になるんだそうですね。

「やれ交際だの、やれ婚約だのつて、そんな贅沢な事を、我々風情が云つてられますか。」

夏目漱石の小説『明暗』に、そんな一節が出てきます。これは「叔母」の話として。「お金さん」の結婚について。交際や婚約が贅沢な時代があったのでしょうか。

フィアンセが出てくる小説に、『アイスランドのハン』があります。1823年に、フランスの作家、ヴィクトル・ユゴーは発表した物語。

「婚約者が息子をだましたのは、ムンクホルムの連隊のためなんだ。」

原文では「フィアンセ」になっているのですが。この『アイスランドのハン』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。

「彼女は黒いフリーズのヴェールに顔を隠した。」

これは「リュシー・ペルニル」の仕種について。
「フリーズ」frieze は厚手の紡毛地。二重織。中世に、オランダのフリーズランドで織られたので、その名前があります。
フリースfleece とは似て非なるもの。
「フリーズ」は十九世紀に、アルスター・コート用として多く用いられた布地です。
どなたかフリーズのアルスターを仕立てて頂けませんでしょうか。

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