ウーステッドとウエイストコート

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ウーステッドは、梳毛糸のことですよね。より細く、より長い糸のこと。worstead
と書いて「ウーステッド」と訓みます。1293年頃からの英語だそうですから、古い。英国のノーフォーク州、ノリッジに近い地名の、「ウーステッド」から出た言葉です。
紡毛糸とは対照的な繊維。紡毛糸はやや太く、やや短いウール・ヤーンのことです。
ウーステッドはたとえばスーツ地に適した素材だとされます。というよりも現在のスーツ地のほとんどがウーステッドである。もしそう言って、過言ではないでしょう。
一言で言って、ウーステッドは扱い易い生地なのです。厚からず、薄からず。たいていの季節に袖を通すことができます。
また、ウーステッドは「イセ」が効きやすい。布地に熱と蒸気とを与えることで簡単に曲面が創れるのです。たとえば背中の丸みなども裁断以前に「イセ」で表現することができるのです。これはウーステッド最大の強みだと言えるでしょう。別言するなら、ウーステッドはもっともシルエットを美しく表現できる布地なのです。

ウーステッドが出てくる小説に、『ロデリック・ランダムの冒険』があります。1784年に、トバイアス・スモレットが発表した物語。

「彼は顎の下でボタンをとめたウーステッド製のナイトキャップと、その上に広いつばのある帽子を深々とかぶっていた。」

これは「ロデリック・ランダム」が旅の途中で会ったある老人について。
また、『ロデリック・ランダムの冒険』には、こんな描写も出てきます。

「………彼は金ボタンの付いた青色の上着、金糸で飾られた緑色の絹のチョッキ、黒いヴェルヴェットの半ズボン、白い絹のストッキング、銀の留め金、金の縁飾りのある帽子………」

これは「ステイテープ」という人物の着こなしについての説明。
イギリス英語なら、「ウエイストコート」waistcoat でしょうか。
どなたかグリーンのシルクのウエイストコートを仕立てて頂けませんでしょうか。

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