コルドバとコッドピース

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コルドバは、スペインの地名ですよね。Cordba と書いて「コルドバ」と訓みます。
スペイン南部、アンダルシア州の中部に位置しています。オリイヴの産地でも。
また、「コードヴァン」cordovan
の語源でもあります。もともとは山羊の革の鞣し方だったそうですね。今のコードヴァンは主に馬革なのですが。厚く、丈夫な革で、光沢に富んだ材質です。靴の素材としてもよく用いられるのは、ご存じの通り。

1924年にスペインのコルドバを旅したお方に、木下杢太郎がいます。木下杢太郎は、『コルドバ』の紀行文を遺しているのですが。もっとも木下杢太郎はコルドバだけに足を運んだわけではありません。
まずフランスのボルドオに行き。ボルドオから、スペインのマドリッドを目指しています。マドリッドから、アルカラ、アルカラから、トレド、トレドから、コルドバに入っています。

「………畠にはオリイブ、時としてコルクの樹、水邊には葦など生え、地に生色があつた。」

木下杢太郎は『コルドバ』の中に、そのように書いています。
木下杢太郎は朝、トレドを汽車で発って、夕方にコルドバに着いているのです。
木下杢太郎は宿に荷物を預けてすぐに街に出ています。そこで聴こえてきた声が。

「アグア、アグア」

これは水売りの声。素焼きの壺に水を入れて、それを売る声なのです。当時のコルドバでの水は貴重品だったのでしょう。
木下杢太郎はコルドバへの列車の中で、ドイツの商人と相客に。そのドイツ人の話すところによりますと。
「コルドバはなぜか、美人の多い街です。」

コルドバが出てくる小説に、『トリストラム・シャンディ』があります。1760年に、イギリスの作家、ロレンス・スターンが発表した物語。

「コルドバのフェルディナンドは九歳のとき、余りに賢すぎたので、 ー 彼の体内には悪魔が住むと思われた。」

また、『トリストラム・シャンディ』には、こんな描写も出てきます。

「………この縁飾りつき前袋をつけたままで着用し………」

これはある紳士の着こなしとして。
ここでの「前袋」は、「コッドピース」codpiece
のことです。十六世紀の衣裳に特徴的な股の部分。当時の脚衣の前開きは単純そのもので、美しいものではありませんでした。そこで前開きに装飾的な股袋を付けてカバーした。そのカバーの袋をイギリスでは「コッドピース」と呼んだのです。
どなたか前開きの美しいトラウザーズを仕立てて頂けませんでしょうか。

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