蝶と蝶ネクタイ

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蝶は、てふのことですよね。昔は「てふ」と書いて「ちょう」と訓んだんだそうです。英語なら、バタフライでしょうか。
「蝶よ花よ」は、子どもをとてもとても可愛がって育てる様子のことですよね。また、紋にも多く用いられる図案であります。たとえば、「蝶の丸」だとか。丸の中に蝶が浮かんでいる紋様なので、「蝶の丸」。
蝶の丸が出てくる小説に、『うもれ木』があります。明治二十五年に、樋口一葉が発表した物語。

「………登り龍下り龍龍の丸、蝶の丸花の丸鳳凰の丸………」

これは紋のあれこれを眺めている場面として。
一葉は、「蝶」と書いて「てふ」のルビを添えているのですが。

蝶と題につく探偵小説に、『不死蝶』があります。1953年に、横溝正史が発表した物語。これは金田一耕助が、富山県の射水に出かける内容になっています。
横溝正史といえば、江戸川乱歩でしょうか。

「………私が乱歩さんにはじめてお眼にかかったのは、大正十四年四月十一日ということになっている。」

横溝正史は随筆『初対面の乱歩さん』に、そのように書いてあります。それ以来、四十年のおつきあいだったという。
横溝正史に、『あ・てる・てえる・ふいるむ』という探偵小説があります。
これはもともと昭和三年に、「江戸川乱歩」の名前で発表された物語なのです。昭和三年には横溝正史は雑誌『新青年』の編集部にいて。一月号に、江戸川乱歩の新作を予定。さて、締切になって。江戸川乱歩の原稿がまだできていない。そこで急遽、横溝正史が書いた原稿を、「江戸川乱歩作」として、掲載。
そんなことで、『あ・てる・てえる・ふいるむ』のほんとうの作者は誰なのか、謎だと思われたりもするのですが。
昭和二年に、横溝正史が書いた探偵小説に、『ネクタイ奇譚』があります。

「黄色トンボ型ネクタイという、世にも変てこなネクタイが流行したことがある。」

横溝正史は、そのように筆を起こしているのですが。「トンボ型」というのですから、「羽」が全部で四枚になっている蝶ネクタイだったという。
でも、でも。蝶ネクタイでのおしゃれはやはりその結び方にあると思います。まず出来合いの蝶ネクタイは避けましょう。必ず自分の手で結ぶこと。それも手で結んだことが分かるように、なるべく自己流に。
どなたか手で結びたくなる蝶ネクタイを作って頂けませんでしょうか。

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