芭蕉とヘリンボーン

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芭蕉で、俳句でといえば、松尾芭蕉ですよね。
芭蕉は貞享元年に、ふっと伊賀上野に旅する。西暦の1684年のこと。伊賀上野はもちろん、芭蕉の生まれ故郷。お母さんの墓詣りに行くんですね。この時に。

手にとらば 消へなんなみだ あつき秋の霜

そんなふうに詠んでいます。また、芭蕉は旅の途中、茶店に。茶店の女、芭蕉と知って。白絹を差し出すんですね。せめて一句なりと……。
芭蕉は茶店の女に名を問う。「てふと申します。」で、詠んだのが。

蘭の香や 蝶のつばさに 薫す

「薫す」は、「たきものす」と訓みます。香を焚き込めたみたい、というとでしょう。「蝶」 ( てふ ) が女の名にかけてあるのは、言うまでもありません。
蘭がお好きといえば、ネロ・ウルフ。とにかく自宅の温室に、一万株からの蘭を育てているのですから。
蘭と同じくお好きなのが、美食。ネロ・ウルフは多くの探偵のなかでも、一二を争う美食家と言って良いでしょうね。
美食探偵、ネロ・ウルフの生みの親は、レックス・スタウト。レックス・スタウトが腕によりをかけたのが、『料理長が多すぎる』。1938年代の発表。世界中の名シェフが、十五人。誰の料理がいちばん美味しいのかを競う物語。名作であり、古典でもあるミステリと言えるでしょう。この中に。

「筋肉質のひきしまった体つきの男で、肩をいからせ、腰をしぼったグレーのヘリンボーンのスーツをきちんと着こなしていた。」

これはアルバートという人物の様子。
なにかヘリンボーンの服を着て。芭蕉の句集を探しに行きましょうか。

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