珈琲と裏地

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珈琲は美味しいものですよね。
珈琲の淹れ方にもいろんな方法があるようですが。パーコレーターだとか、ドリップだとか、エスプレッソだとか。
たとえば、1722年のロンドンで。ブロード・ベント・ハンフレイという人が、新しい珈琲に方式を発表しています。
「これぞ正統なる珈琲の淹れ方なるぞ」
というのが謳い文句であったとか。それは、こんな風だったそうですね。
陶製、または銀製のポットの底に。ざっと30gほどの珈琲の粉を。で、その上から、約一ℓの熱湯を注ぐ。それを五分間おいてから、それぞれのカップに。
なんだか紅茶に似ていますよね。でも、この方式が画期的だと思われたのは。それ以前にはたぶん、煮出していたのでしょう。
珈琲が出てくる小説に、『心変わり』が。1957年に、ミッシェル・ビニールが発表した物語。この中に。

「とてもきちんとしたフィルターではあったが、きみには、フィルターからコーヒーがろかされてその下の茶碗にいっぱいになるまで待っている気がなく、勘定をはらった。」

これはパリ、リシュリュー街の、とあるレストランでのこと。1950年代のパリでは、フィルター・コーヒーが少なくなかったようですね。また、こんな描写も出てきます。

「きみは玉虫色の絹の裏地のついた毛ばだった厚い外套のボタンをはずし、裾を開き、腕を出す。」

もう、お気づきでしょう。これは一人称の小説。少なくとも「きみ」が、シルクの裏地のコートを着ていることが分かるでしょう。イリデッセントの。いや、フランス風なら、「イリデサン」でしょうか。

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