チャタレイで、小説でといえば、『チャタレイ夫人の恋人』ですよね。
『チャタレイ夫人の恋人』はもちろん、D・H・ロレンスの代表作。いかにも英国らしい物語でもあります。
でも、『チャタレイ夫人の恋人』はイタリアで書かれているのです。イタリア、フィレンツェに近い、ミレンダ荘で。
D・H・ロレンスが『チャタレイ夫人の恋人』を書きはじめたのが、１９２６年６月半ばのこと。そして完成したのが、１９２８年１月８日のことと記録されています。D・H・ロレンス、四十三歳の時のことです。
『チャタレイ夫人の恋人』の主人公は、コンスタンス・チャタレイ。どうしてもこちらに目が移ってしまって。でも、クリフォード・チャタレイにも目を向けたいものです。クリフォードはなかなかの洒落者なんですね。

「高級な身なりをしていて、ボンドストリートのいきなネクタイをつけていた。」

そんな風に描かれています。
D・H・ロレンスが出てくるミステリに、『作家の妻の死』があります。１９７９年に、ロバート・ベーフードが発表した物語。この中に。

「たとえD・H・ロレンスでも真似のできないことなのよ。」

これはほんの一例で、何度か、D・H・ロレンスが出てくるのですが。また、こんな描写も。

「ワイシャツはブルーの太い縦縞がはいっていて、ふっくらとしたからだの輪郭にぴったりと合っている。スーツはかなり腕のいい仕立屋で誂えたらしく、りゅうとした代物だ。」

太いストライプのシャツ、いいですねえ。もちろん、仕立ての美事なスーツも。