長沢 節と英国紳士

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長沢 節は記憶に遺すべきモード画家ですよね。
長沢 節の前に長沢 節なく、長沢 節の後に長沢 節なし。偉大な画家です。
長沢 節の本名は、長沢 昇。ある時、絵に添えて「長沢 昇」と署名。これが印刷されてくると、なぜか「長沢 節」に。これ以来、長沢 節になったんだそうです。
ちょっとこれに似ているのが英国の、F・アンスティ。F・アンスティは、ペンネーム。本名は、トーマス・アムスティ・ガスリー。
1878年に、ロンドンで『マース』という新雑誌が創刊されることに。この『マース』に、T・A・ガスリーはユーモア小説を書く。その時、「T・Amstey』とサインを。これが印刷されてみると、「F・Anstey」に。
まあ、いいかあ、というので、これ以降、「F・アンスティ」がペンネームになったという。そのF・アンスティが、1900年代のはじめに書いたのが、『小さな吹雪の国の冒険』。
『小さな吹雪の国の冒険』は、美しい物語。こんなに幻想的で、こんなに心温まる小説があるのか。そんな風に思えてくるほどです。
『小さな吹雪の国の冒険』は、題名からも想像できるように、スノードームが題材になっています。
れっきとした英国紳士が店に飾ってあるスノードームを視ているうちに、その中に入って冒険をする物語なのです。
紳士が視ていたスノードームは、「雪の国」という名前で、結局紳士はそれを買うことに。
『小さな吹雪の国の冒険』の作者、トーマス・A・ガスリーのお父さんは、ロンドンの軍服のテイラーであった。そのことと関係があるのかどうか。ガスリーはいつもシルク・ハットと細巻きの傘を手離すことがなかった。典型的な英国紳士を貫いた。貫いたものはもうひとつあって、終生、独身を通したという。

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