ストッキングとストライプ

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ストッキングは、長靴下のことですよね。女の人はもちろん使いますし、野球の選手のユニフォームに、ストッキングがあります。
ストッキング stockingは見ての通り、「ストック」 stock から出た言葉なんですね。stock に ing を添えて、「ストッキング」。この場合の「ストック」は、「木の棒」の意味。ストックは、「スティック」とか、「ステッキ」とも無関係ではありません。でも、木の棒と長靴下、いったいどんな関係があるのか。
ストッキングの基になった「ストック」は、「編棒」のこと。昔の靴下はまず例外なく、手で編んで、仕上げた。その時に使った編棒から、「ストッキング」の言葉が生まれているのですね。
昔むかし、エリザベス女王の時代に。スペインから貢ぎ物があった。その中のひとつに、絹糸で編んだ長靴下があって。エリザベス女王はそれからというもの、絹靴下を手放そうとはしなかったと、伝えられています。
ここから想像するに、絹靴下の先進国はスペインだったのでしょう。それ以前の英国では、木綿や羊毛の靴下が多かったのではないでしょうか。
第二次大戦以前は、多くの国で、シルク・ストッキングが愛用されたものです。女性が外に出かけるには、必ずシルク・ストッキングを穿いた。でも、絹糸靴下は、高価で。しかも、「伝線」しやすくて。絹靴下の編目がランすることを、俗に「伝線」と言ったものです。「女性の労働賃金は絹靴下のために消える」。そんな言葉さえあったほどなのです。
このことを決定的に変えたのが、ナイロン・ストッキングだったのです。ナイロン・ストッキングなら量産可能で、しかも絹よりはるかに丈夫だったから。もう女性は絹靴下のために働く必要はなくなったわけです。
ナイロンという新繊維が生まれたのは、1939年のこと。アメリカのデュポン社によって。はじめての商品化は、歯ブラシだったという。ついで、ナイロン・ストッキング。1940年5月15日のことでありました。
1940年4月15日。ロンドンに生まれたのが、ジェフリー・アーチャー。ジェフリー・アーチャーが2002年に発表したのが、『運命の息子』。この中に。

「ミス・ニコルは少年のブルーとホワイトのストライプのタイをまっすぐにして、ワイシャツについたゴミを払った。」

ミス・ニコルは、十四歳の少年の乳母という設定。少年の名前は、フレッチャー・アンドリュー・ダヴェンポート。これから「ホッチキス校」に赴く場面。「ストライプのタイ」はもちろん、制服。
さて、なにか縞柄のタイを結んで。ブレイザーを着るとしましょうか。フレッチャー少年はユニフォームとしての、ブルーのブレイザーを羽織っているので。

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