Kとカフス釦

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Kは、アルファベットの11番目の文字ですよね。あるいはまた、なにかの頭文字としても使われるようです。
たとえばトランプで「K」といえば、キングの意味になるんだとか。英国には「K」という靴もありますし。
「K2」は、高い山。カラコラムのこと。あるいはまた、「二人乗りのカヤック」の意味にもなるんだとか。
そしてまた「K」が人の名前になることも。たとえば木村さんだったとして。言うに言えない場合に、「K」。
「K」が出てくる随筆に、『プーリアの夏』があります。著者は、山根美奈。副題に、「向田邦子とKと私」とあります。「K」はあまりにも有名なテレビの演出家。ただ、故人でもありますから、時効とも思うのですが。まあ、『プーリアの夏』が出た1997年には、「K」として伏せておきたかったのでしょうね。
『プーリアの夏』をかいつまんで申しますと、著者と「K」はその頃、恋愛関係にあった。著者は、脚本家志望。そこで、「K」は著者を向田邦子に紹介。助手として。事実、山根美奈は数年間、向田邦子のアシスタントを勤めています。だからこその、「向田邦子とKと私」のサブタイトルが添えられているのでしょう。
「K」の一面を知る上でも、向田邦子の一面を知る上でも、貴重な読物になっています。山根美奈の説によれば、向田邦子は、いつ、どんな時、所でも原稿を書くことができたという。
向田邦子の小説に、『あ・うん』があります。ドラマにも、映画にもなりましたが、その原作。この中に。

「三つ揃いはついこの間銀座の英國屋から届いたものだし、ネクタイも光る石の入ったカフス釦も、この日のために吟味した品だった。」

いうまでもなく、門倉修造の着こなしなんですね。
さあ、どんな「光る石」なんでしょうか。宝石をあしらったカフス釦で、いつか「I」と呼んでもらえる日がくるのでしょうか。

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