ブルーとブラスレ

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ブルー b l u e には、いろんな意味がありますよね。ブルーは、空の色であり、海の色であり、青春の色でもあります。
たしか、『ブルー・スカイ』という歌があったような記憶が。1926年に、アーヴィン・バーリンが作った曲ですよね。『青空』。1935年には、ベニー・グッドマンも吹き込んでいます。
青空、青春を多く描いた作家に、五木寛之が。なにしろ『青春の門』と題する大作をも書いたいるくらいなのですから。
五木寛之は文章家であるだけでなく、講演家でもあります。要するにお話がたいへん上手であります。若い人が五木寛之の話を聴くと、感動のあまり涙を流すこともあるらしい。

五木寛之、ある時、ある大学に招かれて、講演。この講演の途中、五木寛之、絶句。

「何やら喋っていて、ふっと前後の脈絡もなく胸がこみあげて来たのである。」

1968年の随筆『風に吹かれて』の中に、そのように書いています。
その夜、五木寛之はひとり鴨川の辺りを散歩したと、ありますから、その大学は京都にあったのでしょう。散歩しながら五木寛之は絶句の理由を考える。

「青春、とか、若者、とかいった語感が私は余り好きになれない。にもかかわらず、私の心をその時感傷的にしたのは、やはり一つの青春の匂いだったと言える。」

そのように自己分析しているのですが。少なくとも青春には、ある特殊な匂いのあることが、窺えるでしょう。
ブルーが出てくる戯曲に、『繻子の靴』があります。ポオル・クローデルが、1928年に発表した物語。

「それより、この日傘はグリーンがいいかブルーなのか、それをおっしゃってくださいな。」

これは、舞台の、女優の科白なんですね。
また、『繻子の靴』には、こんな科白も。

「金だよ、あげたのは、純金の腕輪だよ、純金の、あれはね、二百ピストルじゃきかなかったんだから。」

これは黒人娘の言葉。
純金ということは24金で。まあ、それは夢物語としても。ゴールドのブラスレがひとつ欲しいものです。青春の形見になるような。

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