ダンディとタキシード

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ダンディは、幽霊に似てますよね。ダンディも幽霊もよく口にする割には誰もまだ見たことがない点で。
幽霊に近いダンディからは少し離れて。「ダンディ・ローラー」。そんな言い方もあるそうです。ダンディ・ローラーは紙に光沢を与えるための機械なんだとか。なるほど「紙をおしゃれにするためのローラー」ということなんでしょう。
ダンディはふつう男の子に対して使われる言葉。「あの女はダンディだ」とは、あんまり言いません。では、ダンディなる女性が絶対に存在しないのか。そうとも言い切れなくて。
事実、「ダンディゼット」 d and iz ett e の言葉があります。これは「女性版ダンディ」の意味なのです。ダンディゼットの言い方があるということは、探せば「ダンディなる女」もどこかにいるのでしょう。
ダンディが出てくる小説に、『若い詩人の肖像』があります。伊藤 整が、昭和三十一年に発表した物語。

「その特別仕立てらしいオーヴァーの揺れ方が、彼にダンディーという印象を与えた。」

「彼」とは、大熊信行を指してのことなのですが。
アーウイン・ショオの『船出の時、帰航の時』にも。

「赤いセーターを着て、格子柄のスカーフを巻いていた。ダンディらしい風貌だったけれど、そんな自分を面白がっているダンディである。」

これはイギリス人の、「プリチャード」という人物についての形容。
同じくアーウイン・ショオの短篇に、『ブレーメン号の水夫』には。

「タキシード」 チャーリーが言った。「ブラック・タイでね」

男たちが会話している場面。イギリスのディナー・ジャケットのことをアメリカでは「タキシード」と呼ぶ習慣があります。典型的なアメリカ英語として。
ただ私がタキシードを着ても絶対にダンディにはなれませんが。

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