ホテルとボウ・タイ

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ホテルは、西洋旅館の子とですよね。hotel と書いて、「ホテル」と訓むこと言うまでもありません。
ホテルは、古い英語の「ホスピターレ」hospitare と関係があるんだとか。つまり病院とホテルは大いに関係ありなのかも知れませんね。
日本でのホテルは、「築地ホテル」が古いらしい。慶應三年のことですから、幕末のこと。もちろん西洋人のための宿だったそうですが。
明治になってからは、「東京ホテル」が明治二十年に開業。この東京ホテルが後に「帝国ホテル」になったという。

ホテルが出てくる小説に、『樹影譚』があります。1987年に、丸谷才一が発表した短篇。

「駿河台のホテルに泊つてゐて、夜中に一仕事終へて散歩に出るときなど、近くの学校の壁ににじむやうに映る薄墨色の影がずいぶん慰めになつたし………」

この物語の主人公は、壁は映る木の影を見るのが趣味、そんな設定になっています。
この「駿河台のホテル」は、たぶん「山ノ上ホテル」かと思われます。以前、作家がよくカンズメになるホテルでしたから。

その昔、巴里のホテルにお住まいになったのが、森 茉莉。

「私たち夫婦は三階に三部屋を借りている上客だった。」

これは巴里の、「オテル・ジャンヌ・ダルク」での話として。その頃の森 茉莉は、フランス文学者の山田珠樹と結婚していたので。
ちょっと羨ましい話ではありますが。
もう一度、丸谷才一の『樹影譚』に戻ってみましょう。

「わたしはボウ・タイが好きで、ときどきこれを結んで集りに出ては文壇人士の顰蹙を買ふのだが………」

この物語の主人公は、いつも出かける前に奥様に結んでもらっていたようですね。
ボウ・タイの基本は蝶結びで、靴紐の要領と同じ。なれてしまえば、これほど簡単な結び方も外にないくらいのものです。
ボウ・タイについても、「習うより慣れよ」であります。
どなたかて結びのボウ・タイを作って頂けませんでしょうか。

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