モオパッサンとモカシン

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モオパッサンは、フランスの偉大な作家ですよね。もちろん、ギイ・ド・モオパッサンであります。それほど長くはなかった作家生活の中で、三百前後の名作を生んだことだけでも、称賛に値するでしょう。
作家になる前のモオパッサンは、海軍省に勤めていました。日曜日ごとに、師匠のフロベエルの自宅を訪ねたのは、有名な話でしょう。
フロベエルは、モオパッサンに「観察」することを教えたという。言うまでなく、観察したことを正確に文章にするために。
モオパッサンはその研鑽の一方で、よく旅にも出ています。1877年の八月、スイスの「ロイカーバート」で、休暇。二ヶ月の間。モオパッサンにとってはこれがはじめての海外旅行だったのですが。
当時のフランス海軍省には、特典があって。列車が四分の一の値段で乗れたんだそうですね。

日本人作家で、深くモオパッサンを尊敬した人物が、永井荷風。

「そもそも私が初てフランス語を學ぼうと云ふ心掛を起しましたのは、あゝモーパサン先生よ。先生の文章を英語によらず、原文のまゝによみ味ひたいと思つたからであります。」

永井荷風著『ふらんす物語』に、そのように書いています。つまり、荷風のアメリカ、フランスへの留学は、ほんとうのところ、モオパッサンにあった。そうも言えるでしょう。

モオパッサンが出てくる小説に、『グレゴワールと老書店主』があります。2019年に、フランスの作家、マルク・ロジェが発表した物語。

「ぼくは見る。マラバルテ、マリヴォー、モーパッサン。モーパッサン全集」

これは古本屋が背景になっていて、著者名ごとに書棚が整理されているので。
また、『グレゴワールと老書店主』には、こんな描写も出てきます。

「足には濃い色の薄い綿の靴下を履き、黒い革のモカシンを履いている。」

これは「老書店主」の足許として。なぜ、そのようなスタイルなのか。

「ただ自分への誇り」のためだと………

まあ、おしゃれとは、そうあるべきなんでしょうね。
どなたか黒のモカシンを作って頂けませんでしょうか。

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