すてきとスーツ

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すてきは、素晴らしいことですよね。「すてきなお召し物ですね」なんていうではありませんか。
すてきは、衣食住すべてに使える褒め言葉でしょう。。パスタなら、「すてきな茹で具合ですね」とか。あるいはまた、「すてきなペルシャ絨毯ですね」とか。
そう言えば、ビジネスにも。『ショーほど素敵なビジネスはない』1954年のミュージカル映画にありましたね。もっとも時代背景は、1930年代に置かれていましたが。

もし「すてき」を英語なら、何でしょうか。「ファイン」でしょうか、「ナイス」でしょうか、「グレイト」でしょうか。

「すてすて、すてきに可愛がるからいい………」

文化六年に、式亭三馬が発表した『浮世風呂』に、そのような一節が出てきます。文化六年は、西暦の1809年のことなのですが。
式亭三馬は、「すてき」と書いています。
このすてきは、江戸の流行語だったんだそうですね。「素晴らしい」に「的」をつけて、「素晴らしい的」。これをうんと短くいたしまして、「素的」となったんだそうですね。
『浮世風呂』が今の銭湯での話なのですが。当時の湯屋の看板は、弓に矢の絵だったという。その心は、「射入る」。もちろん「湯入る」にかけているわけです。江戸時代は一事が万事、シャレが通用した時代なのでしょう。

好きな雑誌の欄に、『すてきなあなたに』があります。『暮しの手帖』の人気頁です。署名はありませんが、以前は、大橋鎮子がお書きになっていました。
今、『暮しの手帖』第五十一号を開いているのですが。

「レモン一個分をしぼって、蜂みつをおおさじ1杯入れて熱湯をそそぎ、それにウイスキーを茶さじ1杯たらして、フウフウふきながら飲んですぐにやすみました。」

『暮しの手帖』第五十一号の『すてきなあなたに』には、たとえばそんなことが書いてあります。大橋鎮子が少し風邪気味だった時に。
また、同じ欄にスーツの話も出てきます。

「昼間の公式の席なら、きちんとしたスーツが一着あれば、どんなところでも立派に通用いたします。」

これは大橋鎮子が、古垣益子から伺った話として。
古垣益子は、古垣鐵郎夫人。もちろん女性の着るスーツの常識が語られているわけです。
古垣益子に拍手を送りたくなってくるではありませんか。
スーツは、素晴らしい。世界中で、紳士のパスポートなのですから。スーツ以外に世界中に「紳士」のパスポートとして通用する服はありません。
どなたかちゃんとしたスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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