シュークリームとシャコー

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シュークリームは、クリームパフのことですよね。英語では「クリームパフ」と言うんだそうです。
シュークリームの「シュー」は、キャベツの意味。皮がキャベツのようにふくらんでいるから、「シュークリーム」。フランスでのシュークリームは、十七世紀からあったんだとか。

シュークリームが出てくる小説に、『蒲団』があります。明治四十年に、田山花袋が発表した代表作。

「姉は茶を淹れる。土産の包を開くと、姉のすきなシュウクリーム。これはマアおいしいと姉の声。」

シュークリームのお好きなお方は少なくないでしょう。
明治四十年にシュークリームが好きだったのが、内田百間。

「六高道に曲がる角に廣江と云う文房具屋があって、その店でシュークリームを売っている。」

もちろん明治四十年頃の岡山での話として。シュークリームがひとつ四銭だったとも。明治四十年の四銭はかなり高価だったという。それを若き日の百間は食べたくて。
孫には弱いおばあちゃんが買ってくれたと、書いています。内田百間の随筆『シュークリーム』に。

1949年に、画家の山口勝弘は、『無題』と題する前衛画を描いています。
音楽家の武満 徹はこの絵を見て、言った。
「あっ、シュークリームとエクレアだ」
たしかに山口勝弘の『無題』は、中央に丸い形と柔らかい棒とが描かれています。これを見てすぐに、「シュークリームとエクレア」と感じた武満 徹の感性は新鮮です。そしてまた、武満 徹はシュークリームとエクレアがお好きだったのではないでしょうか。

シュークリームが出てくる小説に、『愛の一ページ』があります。1878年に、フランスのさっか、ゾラが発表した物語。もちろん、エミイル・ゾラのことです。

「よく目を凝らして見れば、ババ、シュークリーム、ブリオッシュなどの皿が、ビスケットやクロキニョル、それにアーモンド入りのプティフールの皿と交互に並べられているのだった。」

また、『愛の一ページ』にはこんな描写も出てきます。

「彼女はシャコーとサーベルを返してやると、後ろから男をせっつき、自分は頬に喜びをいっぱいに浮かべて奥様の給仕をするのだった。」

「シャコー」shako は、十九世紀の軍帽のことです。うんとクラウンの高いキャップ。後の時代の「ケピ」よりもはるかに高いクラウンのもの。
シルクハットにピーク(前庇)をつけた帽子。そんなふうに言いたいほどの帽子だったのです。
どなたか現代版のシャコーを作って頂けませんでしょうか。

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