ワインとワトー

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ワインは、葡萄酒のことですよね。西洋料理を愉しむには葡萄酒は欠かせないものでしょう。
ワインも一度凝りはじめれば際限のないもので、「温度」なんてことを言いはじめたり。その銘柄の、その年のワインは、何度で飲むべきだ、とか。もうこうなったら、いっそ「ワイン教」と言いたくなってしまうほどですが。
ワインは赤か白か、ロゼか。それくらい覚えておけば、私には充分だと思います。あとは、フランスか、イタリアか、スペインか。
ところで日本でも昔、葡萄酒が造られたことがあるんだそうですね。寛永四年に。寛永四年は西暦の1627年のこと。今からざっと四百年前に。私はそのことを『永青文庫の古文書』という本で識ったのですが。

「上田太郎右衛門が、葡萄酒二樽を仕上げた。」

寛永六年九月十五日の記録に、そのように出てきます。
これは小倉藩主、細川忠利の命令ではじめられたことのようです。
では、原料となる葡萄はどうしたのか。「がらみ」を使ったという。がらみは当時の土地の言葉で、自生の山葡萄のこと。山葡萄のもとに醸してワインを造ったのでしょう。
細川家では、寛永四年から寛永七年にかけて、葡萄酒造りを行ったという。

では、なぜ、細川家ではワインが必要だったのか。一部、西洋料理らしきものを食べていたから。たとえば、「黄飯」。これは今のパエリャにも似た料理であったという。

「それは稀であって、グレタ・ガルボである。」

吉行淳之介の随筆『葡萄酒とみそ汁』に、そのような会話が出てきます。
これは吉行淳之介がフランスのボルドオを訪ねて、ムートン・ロオトシルトで、試飲させてもらった時の話。吉行淳之介は厶ートンの担当者に訊いた。
「年増のワインは佳い味になるのかね?」
これに対する専門家の意見が、「グレタ・ガルボ」であったんだそうですが。

ワインが出てくる小説に、『夫と妻』があります。英国の作家、ウィルキー・コリンズが、1870年に発表した物語。

「もう食事は終わり、テーブルには果物とワインが置かれていた。」

また、『夫と妻』にはこんな描写も出てきます。

「靴は「ワトー」と呼ばれる細身の型で、その踵の高さに男たちは恐れをなし」

ここでの「ワトー」は、Watteau のことかと思われます。
フランス、ロココ期の絵師、ジャン・アントワーヌ・ワトー。ワトーの絵に描かれている、優雅で華奢なスタイルの靴。
どなたかワトーふうの紳士靴を作って頂けませんでしょうか。

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