カラーとカフ

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カラーは、襟のことですよね。たとえば、「ウインザー・カラー」なんて名前もあったりもします。
カラーは英語。フランス語なら、「コル」c ol 。それでフランス人は襟に凝る人が多いのでしょうか。
1959年のヒット曲に、『カラーに口紅』。原題は、『リップスティック・オン・ユア・カラー』。カラーには、糊。口紅はつけないようにいたしましょう。
口紅は英語で、リップスティック。フランス語なら、「ルージュ」。英語では「形」の印象が強くて、フランス語では「色」の印象が強いということなのでしょう。
カラーが出てくるミステリに、『シャム双生児の秘密』があります。エラリイ・クイーンが、1933年年に発表した物語。

「老紳士はぶつくさ言いながら、ネクタイを引いてとり、カラーのボタンを外した。」

もちろんエラリイ・クイーンの自室での様子。「カラーのボタンを」。これは実に正確な翻訳で。「カラー・ボタン」を指しているのですね。
戦前までのシャツは、多く、「ディタッチト・カラー」。着脱自在の襟。カラーを、カラー・スタンドに留めておくための前後のボタンが、「カラー・ボタン」だったのです。
ただし「カラー・ボタン」は通常の貝ボタンではなく、ドレス・スタッドに似た形だったのですが。
いずれにしても、ここでのエラリイ・クイーンは、古典的な「附け襟式」のシャツを着ていたわけです。
『シャム双生児の秘密』には、こんな描写も。

「彼は自分のリンネルのズボンのすその折り返しを…………………。」

ここでの「彼」は、パーシーヴァル・ホームズ博士という設定になっています。
トラウザーズはリネンで、カフ c uff が添えられているのでしょう。
カフは、正しくは、「ターンナップ・カフ」。1890年代の英國での流行。
今では、クラッシック・スタイルとされることは、ご存じの通りです。
トラウザーズにカフをつけて、昔のカラー・ボタンを探しに行くとしましょうか。

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