縁談と襟型

Gari_Melchers_-_Marriage
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縁談とは、佳いものですよね。まさに、縁があって。ふれあいがあって。相思相愛の後、めでたく、結ばれる。
でも。嫁ぐほうと、嫁がせるほうとでは。微妙に思いが違っていたりして。ことに花嫁の父の心の内は。
たとえば、谷崎潤一郎。谷崎潤一郎には、恵美子さんというお嬢様がいらして。お美しくて、お年ごろ。縁談も降るがごとく。その時代は、たいていお見合いをしたものなんですね。
恵美子様、お見合いをして。話がまとまりそうになると、お父さんが、ああだこうだと言う。もちろん、谷崎が。で、ご破算に。
縁談がある、お見合いがある、ああだこうだがある。これがなんと四十数回も。ちょっとした記録かも知れませんね。
この時、大谷崎に直言したのが、川口秀子。川口秀子は、舞踊家。武智鉄二の妻でも。
谷崎潤一郎原作の映画、『紅閨夢』にも川口秀子は、出演しています。知らない仲ではない。
「まことに申し上げにくいことですが。これでは、お嬢様の人生を台無しにしてしまいます……」
で、谷崎も折れて。恵美子は、観世榮夫と結婚。昭和三十五年のこと。
谷崎潤一郎が大正十二年から、『婦人画報』に連載をはじめたのが、『神と人との間』。

「いけないツて云う訳でもないが、僕はいつもタキシードの時にはシングルを着けることに極めているんだ。」

これは谷崎と思われる主人公が、タキシードを着る場面。折襟ではなくて、ウイング・カラーにしたい、言ってるわけですね。
さて。ウイング・カラーのシャツを着て。まさに縁談というお年ごろではありませんが。

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