熊谷とネクタイ

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

熊谷という街がありますよね。
埼玉県熊谷市。JRの「熊谷」という駅もあります。
熊谷。これをなんと訓むのか。ふつう、Kumagaya の二番目の母音にアクセントを置くことが多いようです。
ところが昔から住んでいる人は。Kumagaya の二番目、三番目、四番目の母音にアクセントを置くんだそうですね。「熊谷」の訓みかたにもいろいろあるようです。
また、あるお方の言うことに。熊谷は、「くまがい」が正しいのだと。それというのも、鎌倉時代の武将、熊谷直実 ( くまがい・なおざね ) に因んでいるのだから、と。
あるお方というのが、久保田万太郎。久保田万太郎は「くまがい」説を信じていて。ある時、国鉄 ( 当時 ) に手紙を書いた。
「くまがいに、お直し頂きたい……」
それからしばらくして、久保田万太郎、熊谷ヘ。と、やはりKumagaya になったまま。
この話を聞いた永井龍男のひと言。
「ははあ、くまがい、なおさねえ、だなあ……」。
永井龍男は名文家として有名ですが、こんな即意当妙のシャレがお上手だったそうです。1991年『かまくら春秋』に扇谷正造が書いています。扇谷正造もまた、名文家。その題が、『アテテ、ゴランセ』。
永井龍男と、波多野完治は、神田、錦華小学校の同級生。その頃、学校の近くに立派な建物が完成。もちろん、アテネ・フランセ。でも、波多野完治はそうとは知らない。で、永井龍男に訊く。「龍ちゃん、あれはなあに?」。その時の永井龍男の答え。
「アテテ、ゴランセ」。
栴檀は双葉より芳し、とでも言えば良いのでしょうか。
永井龍男の名随筆に、『ネクタイの幅』があります。たしかにネクタイの幅は、時代によって細くなったり、広くなったり。
なにか好みのネクタイで、熊谷散歩に行きたいものですね。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone