ドスキンとドニゴール

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ドスキンという生地がありますよね。ほんとうは、「ドゥスキン」 doe skin なんでしょうね。雌鹿の皮のこと。「ドゥスキン」に限らず鹿革は高級手袋の材料とされたものです。
そして「ドゥスキン」に似て、しなやかで、光沢のある生地だから、「ドスキン」昔はよくフォーマル・ウエアに使われたものです。また、所によっては鹿の角はボタンの材料にもされたという。
「ディアストーカー」が鹿打帽であるのは、ご存じの通り。あるいは「鹿革の服を着た男」とか。鹿と、服。意外に関係の深いものです。
鹿は鹿でも、仔鹿の話となれば、『バンビ』でしょうね。『バンビ』はフェリックス・ザルテンの原作。仔鹿のバンビが主役となる動物小説。日本では『仔鹿のバンビ』の歌が作られて。

🎵 仔鹿のバンビは かわいいな お花のにおう春の朝………

そんなふうにはじまります。七五調。これは童謡ですからね。でも、ザルテンの物語も詩のような韻文で書かれているんだとか。
『バンビ』が人気になって、英語に訳されたのが、1924年のこと。1924年にイギリスに生まれたのが、マイクル・バタワース。バタワースが1986年に発表したのが、『アルバート公 売ります』。これは抱腹絶倒のミステリ。この中に。

「ドニゴール・ツイード地の服を着こみ、いかにもアイルランド人らしく打ちとけた物腰だったが………」

これは建設業者の、クレッグという人物の着こなし。アイルランド人だからドニゴールというのも、当然なんでしょう。ドニゴール Donegl はアイルランド北部の地名。つまり、アイリッシュ・トゥイードの別名でもあります。
ドニゴール・トゥイードは古典的な、素朴な生地で、ケンプが混じるのも特徴のひとつです。

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