クラリスとグワヤベラ

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クラリスは、女の人の名前なんですね。クラリス・クリーヴスという英国人女性。
このクラリス・クリーヴスに一目惚れしたのが、ディクスン・カー。1931年のことですから、カーが25歳の時。
カーとクラリスはどこで出会ったのか。アメリカからイギリスに向かう豪華客船の上で。まあ、船旅というものはロマンティックですからね。カーとクラリスは結果して、結局、英国に住むことに。
そんなわけでジョン・ディクスン・カーはアメリカ人であるのに、イギリスで執筆する作家になったわけです。が、このカーに力を大いに認めたのが、ドロシー・L・セイヤーズ。セイヤーズはカーを、「ディテクション・クラブ」の会員に招いてもいます。「ディテクション・クラブ」は、英国推理作家協会のこと。
もっとも第二次大戦中は一時期、母国のアメリカに帰ってもいます。が、戦後はBBCの頼みもあって、ふたたび英国に移っています。
そのディクスン・カーが1920年代のパリを背景に描いたのが、『夜歩く』。どうしてパリが舞台なのか。カーは若い頃、パリに住んでいて、よく知っていたからなんですね。
『夜歩く』はカーにとっての長篇第一作。1930年のこと。『夜歩く』が好評だったので、イギリスに渡ることにもなったのですが。
1930年に生まれたのが、クリフォード・アーヴィング。クリフォード・アーヴィングがラックレスの筆名で書いたのが、『殺人よさらば』。1978年に発表された物語。この中に。

「二人ともソンブレロをかぶり、白のガヤベラに白のダボズボン、それにサンダルをはいていた。」

これはメキシコ人の着こなしなんですね。「ガヤベラ」はたぶん、グワヤベラ guayabera のことだと思われます。
「グワヤベラ」南米の民族衣裳。本来は植物の繊維で作られる、アウター・シャツのこと。前身の大きな四つのパッチ・ポケットと、特徴的な細いプリーツとが目じるしの爽やかなシャツです。

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