ステーキとソフト帽

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ステーキには、憧れますよね。ジューシーで、赤くて、焼ける匂いがたまらなくて。
ステーキの焼き具合は、どんな風に注文すれば、いいのか。たとえば、レアだとか、ミディアムとか、ウエラダンだとか。
これがフランスに行きますと。「セニアン」があって、「ア・ポアン」があって、「ビアン・キュイ」があって。でも、それ以外に、「オー・ブルー」というのがあるんだそうですね。表面をさっと、焼く。それが、「オー・ブルー」なんだとか。
まあ、フランスにはなにかと食べることに煩いお方がいらっっしゃるんでしょうね。でも、昔のフランスでのステーキはウエルダンと決まっていた。十九世紀になってロースト・ビーフの習慣がフランスに伝えられて。「なるほど、これも悪くはないなあ………」というので、内側がピンクの肉を食べるようになったんだそうです。
ステーキの焼き加減に一家言あったのが、古波蔵保好。なにしろ、『ステーキの焼き加減』という本を書いているくらいなんですから。 ついでながら。古波蔵保好は、「ミディアム・レア」がお好みだったという。
『ステーキの焼き加減」には。レアと頼んで、 ウエルダンが出てきたら、どうするのか。 それについてもこんな風に書いています。

「おだやかに注意しておくか、時にはウエルダンを味わうのもよかろうと食べるのか ー どっちかでいい。 」

うーん。古波蔵保好は、紳士ですね。昭和の日本人で「紳士」を探すなら、まず最初に指を折る人物であるのかも知れませんね。
古波蔵保好は食通であり、洒落者でもありました。戦後の日本人で、最高にソフト帽が様になった人物であります。
ソフト帽を被る時、心の中で、「コバクラ ヤスヨシ」とおまじないを唱えると、きっとうまくいきますよ。

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