チェンバーとチョッキ

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チェンバーは、「部屋」の意味なんだそうですね。「チェンバー」chamber はラテン語の「カメラム」 cameram からきているんだとか。
同じ「カメラム」から生まれた言葉に、写真機のカメラがあります。ごく乱暴にいいますと、「暗い部屋」から今の写真機が誕生しているわけですね。
ラテン語の「カメラム」と関係あるフランス語に、「シャンブル」 chambre があります。もちろん「部屋」の意味もあります。これがワイン用語になりますと、「シャンブレ」。シャンブレは、「室温にする」といった場合に用いられるようですね。
むかしのフランスではワインをたくさん酒蔵にしまっておいた。酒蔵はたいてい地下室なんかにあったりして。かなり、低温。白ワインならそのままでも。しかし赤ワインならもう少し高い温度で飲みたい。で、「室温にする」。これをシャンブレと言ったんだそうです。
おしゃれ用語にも「シャンブレー」 chambray がありますね。縦に色糸、緯糸に白を配した生地のこと。ただしこの「シャンブレー」は部屋とは関係なくて、フランスの地名「カンブレー」から出ているとの説もあります。
題名に「チェンバー」とつくミステリに、『パラドール・チェンバーの怪事件』があります。ジョン・ディクスン・カーの短篇。『パラドール・チェンバーの怪事件』の時代背景は、1887年8月のことになっています。でも、どうして『パラドール・チェンバーの怪事件』なのか。これはコナン・ドイルの『オレンジの種五つ』を下敷にした戯曲で、『オレンジの種五つ』に「チェンバー」が出てくるからなんですね。この中に。

「マッチロック卿は、厚地のフロックコート、綾織りのチョッキ、ウィング・カラーならびにアスコット・タイ……………」。

もちろんマッチロック卿の着こなし。でも、「綾織りのチョッキ」は、どんな生地なのか。私は勝手に想像して。白ピケのウエイストコートではなかったかと。時には今のスーツに、白ピケのチョッキを合わせてみたいものではありませんか。

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