ロオズとロブ

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ロオズは、薔薇のことですよね。薔薇の好きな国のひとつに、英国があります。イギリスで薔薇の花壇が作られたのは、十二世紀のことであったそうですから、古い。
イギリスの薔薇は、最初、オランダから伝えられたんだそうですね。1524年頃の倫敦では、薔薇の花輪が、六ペンスもした、そんな記録もあるらしい。とにかく英国では、薔薇戦争があったくらいですから。
1455年から、ほぼ三十年にわたって繰り広げられた戦争のこと。ヨーク家と、ランカスター家との王位継承を巡っての戦さ。ヨーク家は、ホワイト・ロオズ、ランカスター家は、レッド・ロオズを旗印に戦った。で、後の人びとは、「薔薇戦争」と呼んだわけです。
では、薔薇戦争はどのようにして、終わったのか。ランカスター家の、ヘンリー・チュードルが、ヨーク家の姫、エリザベスに求婚したから。こうして、紅白染め分けの家紋が生まれたのでした。
薔薇戦争ならぬ、「靴戦争」を繰り広げているのが、チャーリー・マフィン。チャーリー・マフィンはいつも、「新しい靴が合わなくて……………」と、ぼやいてばかりいます。チャーリー・マフィンはもちろん、フリーマントルのスパイ小説の主人公。ブライアン・フリーマントル著『片腕をなくした男』の一節に、こんな描写が出てきます。

「サヴィル・ロウ仕立のスーツ、指にはまっている家紋入りのシグネット・リング、手縫いのロブの靴の先まで…………………。」

これは、サー・トマス・ソトリーなる人物の着こなし。「ロブ」はたぶん、ジョン・ロブのことなんでしょう。
「手縫いのロブ」で、ロオズ・ガーデンを散歩するのは、夢のまた夢ではありますが。

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