山田と山高帽

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山田は、わりあい多い姓ですよね。山田で、美人で、藝達者といえば、山田五十鈴でしょうか。
山田五十鈴の本名は、山田美津。愛称は、「ベルちゃん」。「鈴」だけに「ベル」というわけなのでしょう。
山田五十鈴のお父さんは、山田九州男。戦前の、大坂の、女形俳優だった人物。お母さんの律は、北新地の売れっ子藝者だった人。美人で、藝達者も当然だったのかも知れませんが。
余談ではありますが、山田五十鈴の娘が、嵯峨美智子。嵯峨美智子はあまりに美人すぎ、あまりに妖艶すぎて、役者としては母を超えることはありませんでしたが。
山田五十鈴の舞台での代表作が、『たぬき』。『たぬき』の原作は、北条 誠。
三味線の名人だった、立花橘之助の藝魂を描いた芝居。ちなみに「初代立花橘之助」は、女の藝人。山田五十鈴は豆が潰れて血が出るほど三味線の練習をして、名演。その年の芸術祭大賞を受けています。
その『たぬき』の楽屋を訪ねたのが、尾上多賀之丞。尾上多賀之丞は、自身、女形役者。また、お父さんの友だちでもあって。山田五十鈴は、問う。「いかがでございましたでしょうか?」。多賀之丞、答えて曰く。

「あんたも、好きだねえ。」

戸板康二著『ちょっといい話』に出ているのですが。同じく『ちょっといい話』に、詩人の佐藤春夫が山高帽を愛用したことも出ています。
佐藤春夫はどうして山高帽が好きだったのか。たまたま少年用の山高帽がぴったりだったので。
幕末に、「丸帽」としてはじめて日本にボウラーのあることを紹介したのが、
福澤諭吉。『西洋衣食住』の著書において。
さて、ボウラーをかぶって、福澤諭吉の本を探しに行くとしましょうか。

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