スーチョンとスカル・キャップ

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スーチョンは、紅茶のひとつですよね。ラプサン・スーチョンのことです。
ラプサン・スーチョンを漢字で書くと、「正山小種」となるんだとか。古いから中國、福建省で作られる紅茶。葉を乾燥させる時に、松の葉を燻して仕上げる。ですから松の葉の薫香が感じられて。紅茶愛好家の中では、高貴品種とされたいるようです。
ラプサン・スーチョンとは限らず、紅茶がお好きだったお方に、永井荷風がいます。荷風は紅茶がお好きだっただけでなく、『紅茶の後』と題する随筆集をも編んでいます。

「「紅茶の後」とは、静かな昼過ぎ、紙よりも薄い支那焼の器に味ふ暖国の茶の一杯に、いささかのコニヤツク酒をまぜ、……………………。」

と、前書に書いています。ということは、荷風散人は、ブランデー入りの紅茶がお好きだったのでしょうか。
ラプサン・スーチョンが出てくる短篇に、『模範的億万長者』があります。1887年に、オスカー・ワイルドが発表した物語。

「茶商のほうはもう少し長続きしたが、じきにピーコーだのスーチョンだのに飽きてしまった。」

これは、ヒューイ・アースキンという男が商売をする話の中にのこと。オスカー・ワイルドといえばやはり、『ドリアン・グレエの絵姿』でしょうか。これは、1891年の発表。この中に。

「トルコ石を嵌めこんだ黄金の薔薇模様の首飾り、真珠を鏤めたスカル・キャップをピアズ・ギャヴィストンに与えた。」

「スカル・キャップ」は、頭にぴったりとかぶる帽子のことですよね。
真珠を鏤めてはおりませんが。スカル・キャップをかぶっての紅茶時間は大好きです。

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