メリヤスとメルトン

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メリヤスは、ジャージーのことですよね。メリヤスは古い言葉で、むかしは「莫大小」の字を宛てたという。もちろん、「大小莫し」の意味として。
メリヤスは、ポルトガル語の「メイヤス」 m e i as またはスペイン語の「メディアス」 m ed i as から出ているんだそうですね。

はきごころよき めりやすの足袋

凡兆の句にそんなのがあります。凡兆は、野澤凡兆。芭蕉の弟子。加賀に生まれた医者であったそうです。「めりやすの足袋」は、おそらく元禄時代はじめに詠まれたものでしょう。つまり、少なくとも元禄時代には、「めりやすの足袋」があったものと思われます。
野澤凡兆は、元禄元年の初夏。はじめて芭蕉に会い、弟子に。元禄四年の四月。芭蕉は、京都、嵯峨野に。嵯峨野の「落柿舎」に。凡兆はこの時にも、妻の羽紅と一緒に、芭蕉を訪ねています。泊まりがけで。
たぶんその頃の話でしょう。凡兆と芭蕉の気性を示す話が遺っています。
凡兆。
「雪つむ上の夜の雨」
という下の句が浮かんだ。さて、上五をどうしたものか。凡兆があまりに考えこんでいるので。芭蕉が。

下京や

の上五を凡兆に示した。でも、凡兆依然として、「うーん」と唸ってばかり。その時、芭蕉が凡兆に。

「下京や以外に優れた上五があるなら、我ふたたび俳諧いふべからず。」

これ以上の句があるというなら、私もう俳句のことは申しませんよ。
まあ、凡兆も凡兆なら、芭蕉も芭蕉といったところでしょうか。
いやいや、メリヤスの話でしたね。『スパイvsスパイ』を読んでおりますと。えーと、これは1988年に、ロナルド・ケスナーが書いた実録物。

「まるでフットボールの観客席でTシャツを売り歩くように堂々と秘密情報をもち歩く。」

これはFBIの内部の様子。とにかく「実録物」ですから信じるとしましょう。また、『スパイvsスパイ』には、こんな描写も。

「七時二十分にレオノフが現れた。厚地のウールの背広を着ていた。」

ユリ・レオノフは、「GRU」の情報部員。
「厚地のウール」って、何でしょうか。1970年代に私はメルトンのスーツを着たことがあります。片前の三つボタン三つ掛け。背には背バンドと、インヴァーテッド・プリーツが入っていました。冬でも外套要らずで、快適で。
メルトンもメリヤスも着ます。でも、俳句はさっぱりですが。

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