ペンダントとヘリオトロープ

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ペンダントは、頸飾りのことですよね。もっとも p end a nt には、「下げる」の意味もありますから、照明器具なんかにも「ペンダント」を使うことがあるようです。
私の場合、勝手な連想は、『太陽がいっぱい』。ペンダントといえばいつも映画『太陽がいっぱい』を想ってしまいます。1960年の映画。アラン・ドロン主演の映画。アラン・ドロンがヨットの上で、上半身裸で、金のペンダントが眩しく光っていましたので。
ペンダントが出てくるミステリに、『リュパンの冒険』があります。1908年に、モオリス・ルブランが発表した物語。

「わたくしの見ている前で、あなたはあのひとにペンダントをあげました………………」。

これは侍女の、ソーニア・クリチノフが、シャルムラース公爵に対しての科白。
また、『リュパンの冒険』には、こんな描写も。

「レルジェエール夫人の夕食会には、どっちの服にしようかしら、ヘリオトロープ色、それともピンク色…………………。」

これは、富豪令嬢の、ジェルメーヌの科白。
「ヘリオトロープ色」は薄紫色のことです。また、ヘリオトロープは、香水の原料にもなります。

やはらかにちらぼへるヘリオトロオプ。
わかき日のなまめきのそのほのめき静こころなし。

北原白秋が、明治四十一年に詠んだ『室内庭園』の中の一節。ここでの「ヘリオトロオプ」は、薫りではなく、色を指しているのでしょう。

「ヘリオトロープ」と女が静かに云つた。

同じく明治四十一年に、夏目漱石が書いた『三四郎』の一節です。
もちろんこの場合は、香水。美彌子がハンカチに使っているパルファン。
明治四十一年。北原白秋はヘリオトロープの色を見、夏目漱石はその匂いを嗅いでいたことになります。
ペンダントが似合いそうな、ヘリオトロープ色のシャツを着てみたいものですね。

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