カフェ・オ・レとカノティエ

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カフェ・オ・レは、牛乳入り珈琲のことですよね。フランス人は朝、カフェ・オ・レがないことには、目が開かないことになっています。
さて、そのカフェ・オ・レをどこで飲むのか。フランス人にとってもっとも満足できるのが、ベッド。朝、目覚めて、ベッドのところまでカフェ・オ・レが運ばれてくるようなら、天国。いうことなし。
カフェ・オ・レが出てくる随筆に、『架空邂逅記』があります。1949年10月30日に、渡辺一夫が書いた文章。

「僕は踵を返して、サン・ミシェル通りへ出た。どこのカフェでもよい、開いてゐる店へ飛びこみ、温かいカフェ・オ・レと焼きたてのクロワサンとを食べたかつた。」

渡辺一夫は、「サン・ミシェル通り」、「クロワサン」と書いています。渡辺一夫が偉大なるフランス文學の先生であるのは、いうまでもありません。
では、「カフェ・オ・レ」とは何ぞや。こう言いはじめると、ややこしくなってくるのでしょうが。もう少し簡単に考えて。

「一回終って、卵をかけて飯を食ひ、コブ茶を飲んで、ミルクコーヒーをのんで、吸入をかける。」

昭和九年『古川ロッパ昭和日記』七月二十九日、日曜日のところに出ています。
余談ではありますが。文中の「吸入をかける」は、当時の治療法。適温の蒸気が出てくる器具があって。この蒸気を喉から「吸入」すると、喉が健康になると信じられていたものです。
ところで昭和九年の「ミルクコーヒー」と、カフェ・オ・レとは、どこがどう違っていたのか。昭和九年は、1934年年ことで、古川ロッパご本人はフランスにカフェ・オ・レなるものがあること、知らなかったかも知れませんが。
カフェ・オ・レが出てくる小説に、『異邦人』があります。アルベール・カミュが、1942年に発表した物語。というよりも、カミュの代表作であります。

「私はまたミルク・コーヒーを飲んだ。大へんうまかった。」

ここに、「また」とあるのは、その少し前にも「ミルクコーヒー」を飲んでいるから。そして、ここでの「ミルクコーヒー」は、今のカフェ・オ・レだと考えて、間違いないでしょう。
また、『異邦人』には、こんな描写も出てきます。

「彼は青いズボンと半袖の白シャツを着ていた。ところが、カンカン帽をかぶっていたので、マリイがふきだした。」

「彼」とは、レエモンという若者。ここでの「カンカン帽」は、カノティエ c a n ot i er のことかと思われます。
イギリスで「ボーター 」 b o at er と呼ぶものを、フランスでは「カノティエ 」。フランスでは男の子も女の子も、カノティエ をかぶることがあります。
ただし言葉としての「カノティエ 」は、男の子名詞なのですが。

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