グリーンとクラスプ

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グリーンは、緑色ことですよね。グリーン gr e en にはまた、「若々しい」の意味もあるんだそうですが。
グリーンにもいろんな意味があるらしくて。たとえば、「緑布道の紳士」。
「ジェントルマン・オブ・ザ・グリーン・クロス・ロード」。この場合には、「ビリヤード通」を指すんだそうですね。たしかにビリヤードは「緑布道」での競技ですから。
あるいはまた、「グリーン・ルーム」。緑の部屋。これは芝居などの「楽屋」のこと。昔の
英國の楽屋は、緑の布を貼っていたので。
役者が舞台に立つと、証明で目が疲れる。せめて休憩時間には、緑の色で目を休めよう、ということだったらしい。今はもう楽屋を緑にしなくても、「グリーン・ルーム」の言葉が遺ったわけなのでしょう。
緑が出てくる小説に、『妻』があります。田山花袋が、明治四十二年に発表した物語。この中に、文学青年の話が出てくるのですが。

「西はニツケル臺の明るい洋燈の下に、其緑色の表紙の本を展げて……………………。」

これは当時の「丸善」で買ってきた、洋書の装幀を指しているです。著者の田山花袋としては、「グリーン」の意識もあったでしょうが、『妻』の中では「緑色」と書いています。

「………彼女は濃いグリンのドレスに小さい宝石を飾り、父に似ない立派な軀をもっていたし……………………。」

豊田三郎が、昭和十年に書いた『弔花』の一節。豊田三郎は、「グリン」と書いていますが、たぶんグリーンのことかと思われます。
グリーンが出てくるミステリに、『バッキンガムの光芒』が。2008年に、ジョー・ウォルトンが発表した物語。

「今日のために誂えたミント・グリーンのドレスを着ており……………………。」

これはエリザベス・メイナードの服装。場所はロンドン、「リッツ・ホテル」のロビイ。
また、『バッキンガムの光芒』には、こんな描写も。

「わたしはうしろから彼女の髪を持ちあげ、そのネックレスの留め具を留めてあげた。」

これはエルヴィラが親友のエリザベスにネックレスを付けてあげる場面。
文中、「留め具」の脇には、「クラスプ」のルビがふってあります。
クラスプ cl asp はたしかに「留め具」の意味があります。英語としては1307年頃から用いられているとのこと。
でも「バトル・クラスプ」の言葉もあって。「従軍章」のことでもあります。あるいはまた、「サーヴィス・クラスプ」。これは年月日や会戦の場所などが記されるもの。たいていは襟先に飾ることが多いようです。
どなたかサーヴィス・クラスプが似合いそうなスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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