カンガルーとカーディガン

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カンガルーは、動物の名前ですよね。kangaroo と書いて「カンガルー」と訓みます。腹に袋を持っているので、「有袋動物」とも呼ばれるんだそうです。
靴のひとつに、「ワラビー」があります。ワラビーもまたカンガルーの一種。カンガルーよりももう少し小型の動物が、「ワラビー」。また似たような動物ニ、「ワラルー」wallaroo
というのもあるんだそうですね。
袋のような形の靴なので、「ワラビー」なのででしょうか。

1991年に、安部公房が発表した小説に、『カンガルー・ノート』があります。この中に。

「一般にノートはポケットに入れるものですね、そのノートにさらにポケットをつけて足す」

そんな文章が出てきます。つまりポケット付きのノート。これがある会社で採用されて。でも、『カンガルー・ノート』自体は、まことに不思議な物語になっているのですが。

1923年に、D・H・ロレンスが発表した小説に、『カンガルー』があります。D・H・ロレンスは『カンガルー』を、オーストラリアで書いているのですが。長篇。
D・H・ロレンスは、1922年5月4日から、同じ年の8月10日まで、オーストラリアに滞在。この間の、43日で、『カンガルー』を書き上げているのですね。これはちょっとした記録ではないでしょうか。
たとえば、『パルムの僧院』。もちろん、スタンダールの名作。あのスタンダールの『パルムの僧院』は、53日で仕上げたんだとか。口述筆記で。ちょうどその時のスタンダール、右手を傷めていたこともあって。
別に競争ではないのですが。D・H・ロレンスの『カンガルー』は、43日。たぶん一気呵成に書いたものと思われます。

「クーリー氏はすぐに出て来た。その姿は紛れもなくカンガルーだった。」

「クーリー氏」は、弁護士。カンガルーに似ているので、仇名が「カンガルー」。友人たちも「カンガルー」と呼び、自分でも「カンガルー」と言う。よほどカンガルーに似ているのでしょうか。

丸谷才一の随筆に『カンガルー』があります。

「それで大型の兎みたいな動物を「カンガルー」と呼ぶことにしたが、原住民の答は、実は、
わたしにはわからない」
であつたのだ、といふ話。」

白人がはじめてオーストラリアに入った時、カンガルーを見かけて、訊いた。と、その答が、「カンガルー」。でも、その意味は「わたしにはわからない」であったんだそうですね。

丸谷才一が、1993年に発表した小説に、『女ざかり』があります。長篇。この中に。

「カーディガンを羽織つた頬ひげの五十男で、夕刊一面下の「方寸帖」といふ短評欄の筆者である。」

これはある新聞社での描写として。この記者は社内で、カーディガンを着ているのでしょう。

カーディガンcardigan は、英国のカーディガン伯爵の名前に因んでいます。
もともとは戦場で怪我をしていても、脱ぎ着の楽なスェーターだったのです。
カーディガン伯爵自身、腕が不自由な紳士だったという。
それはともかくオフィスにも似合うカーディガンを編んで頂けませんでしょうか。

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