コルクとコロンヌ

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コルクはよく栓に使われますよね。コルク栓というではありませんか。英語の「コーク」cork のことです。
オランダ語では「クルク」ここから日本語になって「コルク」が生まれたものでしょう。昔は「キルク」とも言ったんだそうですね。
ワインの栓に使われるのが、「ブション」。一般にブションが長いほど高級ワインとされるんだとか。長いブションは長期保存に耐え得るワインという意味があるんだそうです。

「柳之助は其を視ながら壜を引寄せて、栓を抜くと直に口に当支つて………」

明治二十九年に、尾崎紅葉が発表した小説『多情多恨』に、そのような一節が出てきます。尾崎紅葉は「栓」と書いて、「コーク」のルビを添えています。飲んでいるのは、もちろん「葡萄酒」。日本語の「コーク」があらわれた小説としてはわりあいはやい例でしょう。

振っていたらコルクがひとりでに抜けた ギボン!

大正十二年に、稲垣足穂が書いた『一秒一千物語』には、「コルク」と出てきます。とにかく壜の中から箒星が出てくるお方ですからね。
コルクが出てくる小説に、『居酒屋』があります。1877年に、フランスの作家、ゾラが発表した物語。

「………窓のまえでおとなしく古いコルク栓で遊んでいた子供たちに近寄ってキスをしてやってから低い声でこう言った。」

「おとなしくしているのよ」

ジェルヴェーズの言葉として。185 0年代の巴里の庶民生活を垣間見るには、恰好の讀物になっています。
エミイル・ゾラの『居酒屋』には、こんな描写も出てきます。

「これがコロンヌっていう鎖さ」とクーポールが言った。

これは当時の巴里の彫金師の話。「コロンヌ」colonne
は装飾的な鎖の名前。「ロリュ」という職人は、この「コロンヌ」しか作らない彫金師。そればかり十二の年からやって、もう八千メートルも作った計算になるという。
どなたかコロンヌのペンダントを作って頂けませんでしょうか。

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