スキーとスゥエード

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

スキーは雪の上を滑るスポーツのことですよね。でも、滑らないほうのスキーもあって。たとえば、「チャイコフスキー」。チャイコフスキーに限ったことではありませんで、ロシア人に、「………………スキー」という名前は少なくないようです。
同じく音楽家ですが、ストラヴィンスキー。同じく、ムソルグスキー。同じく、フセヴォロシスキー。
作家でも、ドストエフスキーだとか。チャイコフスキー Ch a ik ovsk iy は、「チャイコウ地方からやってきた者」の意味なんだとか。チャイコウ地方とは「鷗がたくさんいる所」の意味。で、「チャイコフスキー」つまり「スキー」自体は、「………………から来た」を表す言葉なんだそうです。
チャイコフスキーが書いた記録に、『一八七六年のバイロイト』があります。バイロイトは今も有名な音楽祭で、チャイコフスキーもまた、1876年8月12日に、バイロイトに到着しています。リストも、ワーグナーも。
「ワーグナー劇場」はバイロイトの丘の上にあって。劇場横に大きなテントが張られ、ここで観客は食事をすることに。でも、あまりにも観客の数が多すぎて。『一八七六年のバイロイト』によりますと。

「ワーグナーのライトモチーフよりもビーフステーキや仔牛のカツレツやローストポテトの方が多く耳にきこえた。」

そんな風に書いています。
スキーに話を戻しますと。スキーの出てくる長篇に『真夜中の直滑降』が
あります。著者はもちろん、アーウィン・ショオ。アーウイン・ショオが『真夜中の直滑降』より後に書いて、より長篇なのが、『富めるもの貧しきもの』。1969年の発表。ただし物語の背景は、1945年頃におかれているのですが。

「彼はスエードのジャケットからコーデュロイのに着替えただけだった。あいかわらず、チェックのウールのシャツにペイズリー織りのスカーフをしている。」

これは富豪の、テディ・ボイランの着こなし。
「スエードのジャケット」、いいですねえ。フランス語の「スエド」s uèdeは、「スゥエーデン風」の意味。そのむかし、スゥエーデンで高級手袋用の鞣しが行われたので、その名前があります。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone