カウボーイとカラー・ステイ

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カウボーイは、牛の世話をする若者のことですよね。牛を産ませ、牛を育て、牛を運ぶ。キャトル・ドライヴ。たいへん重労働だったと思います。
カウボーイから誰もが思い浮かべるものに、「デュード・ランチ」があります。「観光牧場」。アメリカ東部の富裕層が、西部に行って、「カウボーイごっこ」をすること。それを、デュード・ランチと呼んだのですね。1920年代以降のことです。
とにかくお遊びでの、カウボーイごっこなんですから、上から下までカウボーイの扮装で。アメリカ東部の富裕層がブルー・ジーンズに親しむようになったきっかけは、このデュード・ランチからだったとも伝えられています。
それはともかく、カウボーイの出てくる小説に、『マイ・アントニーア』があります。1918年に、ウィラ・キャザーが発表した物語。

「オットー・フックスは「おれはカウボーイで道を誤ったことは分かっている」とか、「おれを侘しい大平原に埋めないで」を歌った。」

オットー・フックスはもとカウボーイだったという設定ですから、カウボーイ・ソングを歌うの当たり前なのでしょうが。『マイ・アントニーア』には、こんな描写も。

「キャンディ、オレンジ、真鍮の襟止め、時計のチャーム、そしてぼくに……………………。」

これは物語のはじめ、ヴァージニア州からネブラスカ州に向かう列車の中。「ぼく」は、十歳。ぼくを連れて行ってくれるのが、ジェイク・マーポールという若者。
ジーンズ・マーポールは車内販売がまわってくるたびに、買う。「真鍮の襟止め」だったり、「時計のチャーム」だったり。「時計のチャーム」は、懐中時計の鎖の、もう一方の端に付けておく小飾りのこと。
「真鍮の襟止め」は、カラー・ステイのこと。俗に言う、カラーキーパー。カラーに張りを持たせる小道具。もちろん真鍮だけでなく、シルヴァーのカラー・ステイなどもあったのですが。
カウボーイ・シャツにもよく見ると、内蔵型のカラー・ステイが入っていたりもしますよね。

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