シムノンは、フランスの作家ですよね。もちろん、ジョルジュ・シムノンのことであります。「メグレ警部物」はたぶんお目通しのことでしょう。
メグレ警部は、実直な警察官。スーパーマンの探偵ではありません。一歩一歩積み重ねて、事件の謎を解く。おそらくそれが人気の秘密だったと、思われます。
ジョルジュ・シムノンは探偵小説とは別に、純文学の小説をもたくさん書いているのです。ちょっとした宮本武蔵の二刀流にも似ているでしょうか。
このジョルジュ・シムノンと少し関係のあったのが、トリュフォー。いうまでもなく、フランスの映画監督。フランソワ・トリュフォーであります。
トリュフォーは1959年に、映画『大人は判ってくれない』を製作。この『大人は判ってくれない』こそが、トリュフォーの出世作となったのです。無名監督から一気に人気監督として注目を集めるようになったのであります。
いろんな国のいろんな人から、祝電が届いたそうですね。
ニコラス・レイ。ジョルジュ・ブラック。ジャン・ルノワール。その中のひとつに、ジョルジュ・シムノンからもあったのです。
トリュフォーは、1978年に映画『緑色の部屋』を完成させています。なぜ、『緑色の部屋』の題名にしたのか。
「………結局『緑色の部屋』という題名がジョルジュ・シムノンの犯罪小説ふうで気に入ったわけです。」
『トリュフォー 最後のインタビュー』で、そんなふうに語っています。『トリュフォー 最後のインタビュー』は、山田宏一と、蓮實重彦とによる貴重な労作です。
「古本の山をひっかきまわしているうちに見つけた本である。」
アントワーヌ・ド・ベック、セルジュ・トゥビアナ共著『フランソワ・トリュフォー』の中で、そのように語っています。
トリュフォーが偏愛した作家、アンリ=ピエール・ロシェの本を見つけた時の様子について。それは、パリのパレ=ロワイヤル広場の「ドラマン書店」の陳列台に積まれていた一冊だったのです。
1971年の、トリュフォー映画『恋のエチュード』もまた、アンリ=ピエール・ロシェの小説から想を得ています。
アンリ=ピエール・ロシェの小説『二人の英国女性と大陸』が、映画『恋のエチュード』の原作なのです。
主演は、これもトリュフォー偏愛の美男男優、ジャン=ピエール・レオーなのですが。
ジャン=ピエール・レオーは映画の中で、ホワイト・カラーのシュミーズを着る場面があります。見頃は大胆な格子柄で、襟と袖口とが白無地になっているものです。
どなたか『恋のエチュード』の中でジャンが着たホワイト・カラーのシュミーズを再現して頂けませんでしょうか。